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ありうべき未来

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE

ⓒ2023 PARAMOUNT PICTURES.

不可能なミッションに挑み続ける我らがイーサン・ハント。今回は特に、事件の全貌がまったくわからないまま渦中に放り込まれ、どんな敵を相手にしているのかも少しずつ分かってくるという仕掛け。情報が増えるたびに不可能度が増すという地獄みたいなミッションに挑む。

前後編に分割された本作は前編にあたるのだが、これだけで150分もある。ただ、その長い上映時間に退屈するかといえばそんなことはなく、目まぐるしいストーリー展開と派手なアクションによりダレることはない。飽きずにラストまで引っ張っていくのはさすがなのだが、それでいてラストまで見ても「後編に続く」となるので何も解決しないという閉塞感がある。

本作の扱っているテーマは現代を生きる誰にも身近なもので、さすがに映画に描かれているものは少々誇張を含んでいるものの、現在の技術水準から言ってもそれほど突拍子もない話ではなく、十二分にありうべき話である。情報過多が叫ばれて久しいが、それが何を意味するのか今一度考えさせられるような作品である。

過去作は特に見ていなくてもついて行けるが、一作目を見ておくといくつもの符合を感じられると思う。(映画ライター・ケン坊)

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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一見して感じたのは「既視感」。『ワイルド・スピード』との符合が多い。トンデモ兵器の「鍵」を巡っていろんな組織が取り合いを演じるというのはジェット・ブレイクで描かれたものを思い出させる。悪役の女性も本作のホワイト・ウィドウとワイスピのサイファーは印象が被る。また、最新作でイタリアを舞台にカーチェイスを演じたのも記憶に新しく、同じような画面が展開されると既視感が否めない。行きつくところが似たようなことになるのか、作り手の問題意識が似たようなところになるのか。理由は定かではないものの、明らかな類似性が感じられる。

今回敵となるのはAIであり、まさに現代的な話題である。恐るべき力を持つAIを巡って、それをわがものにしようという様々な国家、組織が動く。我らがIMFのイーサンたちのチームだけが、そのAIを破壊するという目的で動いている。そのAIを支配するにしろ破壊するにしろ、必要となる鍵があり、その鍵の奪い合いが主に今作で描かれている。

そこまでは良いのだが、実際問題、独自進化を始めてしまい、なおかつインターネットをはじめとしたいくつものネットワークにすでに侵入したことのあるAIを、いかなる鍵であれ、その鍵がもたらす手段であれ、制御下に置いたり破壊したりすることが可能だろうか。とてもそんなことが可能とは思えないのだが。

本作では鍵の奪い合いが描かれ、次作ではおそらくその鍵を使ってAIと対決する話が描かれるのであろうが、納得のいく形でこのAIを滅ぼすことが果たして可能なのだろうか。本作でもすでに描かれたように、このAIはとても賢く、人間を自分の意図通りに動かしている。情報を操作して人を動かし、自分の利になる方向に物事を進めている。そんなことができるAIが、果たして鍵が人の手に渡っただけで自らが危うくなるような状態をそのまま放置しておくだろうか。マスターが停止したら起動するようなコピーをネットワークの隅々にコピーしたり、見つからないように細切れにしてネットの海に散らばせたりすることはできるだろう。本作ではオリジナルのソースがあればこの進化したAIを制御できると言っていたのだが、何故そんなことが可能なのかの説明はなかった。次作でそこがクリアになるのか、とても興味がある。おそらく納得のいく形では決着すまいと思っている。

逆に言うと、この事態は映画だから平和的ハッピーエンドに着地するかもしれないが、現実に起こったら制御不能であるし、その三歩ぐらい手前までもう来ている。アメリカではAI事業者を集めて政府が指示を出したらしいが、既に多くのAIはネット上に存在しており、リークされたソースから枝分かれした亜種もたくさん存在している。この映画で描かれているような、デジタル情報が全く信用ならないという世界はそう遠くない未来に訪れるかもしれない。

作中でデータセンターが必死でデータを紙媒体に書き写しているという滑稽なシーンが登場するのだが、あれを笑えない未来が来るかもしれない。

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