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片想いは雨宿りのように

恋は雨上がりのように

©2018映画「恋は雨上がりのように」製作委員会 ©2014 眉月じゅん/小学館

四十代半ばの男性と女子高生。そんな組み合わせが世間を騒がせた事件もまだ記憶に新しい。そんな時期に公開となった本作は、女子高生の側がオジサンに片想いをするというお話である。設定だけを聞くと、そんな話はどうやってもオッサンの妄想みたいなことにしかならないのではないか、と思うのだけれど、なかなかどうしてステキな感じにまとまっている。

女子高生とオジサン。この作品はそのオジサンの側のリアルを描いている。思い切り青春を生き、夢を追い、家庭を失い、それでも生きる道を見つけて奮闘している。成功者ではないがゆえに見えるものがあるオジサン。彼が、夢半ばで絶望しかけている女子高生にかける言葉には嘘がなく、偽善もない。そこに、彼女がオジサンに惹かれるだけの理由がある。オジサンの側を丁寧に描いたことで、一歩間違えばただの妄想にしかならないような話がそれなりに説得力のある物語になっている。

この恋は雨上がりというよりも雨宿りのようだ。そしてラストシーンで雨が上がる。雨上がりはただの晴れとは違う。雨に潤された雫が晴空に煌く。雨が降らないと雨上がりは見られない。雨が降ればこそ、見られる景色がそこにはある。(映画ライター・ケン坊)

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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とても気持ちの良い映画だ。見終えて最初に出てきた感想はそういうものだった。私は四十代のオジサンで、本作の主人公よりも少しだけ若いものの、四十代で二〜三歳の違いなど無いようなものだ。そんな私から見て、この作品の主人公はとてもリアルでよくわかる。17歳の女子高生に片想いをされる、という状況は特殊ではあるものの、あり得なくもない。もちろん、四十代の男性に惹かれる女子高生というのは明らかに少数派だし、少々変わったタイプではあろう。この作品に登場する少女もそういうタイプで、周囲の子たちと比べると少々変わっている。そこに、この作品の説得力の根源がある。

彼女たちにとって、四十代のオジサンがもつ魅力というのは端的に言えば「経験値」に他ならない。本作のおじさんのように、バツイチ子持ち、みたいな要素はマイナスになるどころかプラスですらある。さらに彼は全力で夢を追い、敗れ、成功した仲間とは気まずさから疎遠になってしまっていたりする。そんなオジサンは普通とは違う見方で世界を見ていて、そこから彼女に声をかけてくれる。

女子高生はオジサンに惹かれ、惚れる。オジサンはその想いを告白され、大いに困る。「迷惑なんかじゃない。嬉しいよ。」と答えるオジサン。本心だろう。ただ「その気持ちには応えられないよ。」と言う。これも本心だ。男性として、若い女性から好意を寄せられるのは好ましいことだ。が。女子高生に惚れられるというのは非常に困った事態だ。なぜなら、彼女の気持ちは嘘ではないものの、未熟ゆえの判断ミスが起こした事故であるということがオジサンにはわかるからだ。彼女を大切に思えばこそ、その気持ちには応えられない。

本作でオジサンが採る行動には、彼女への愛が溢れている。オジサンは彼女を大切に思えばこそ、退ける必要があった。

悩める女子高生は人生に降った大雨を、オジサンのもとでしばししのいだ。いわば雨宿りのように片想いをした。結果としてその恋は成就しなかったと言えるだろうけれど、雨宿りしたことによって人生の雨は切り抜けることができた。雨宿りを終えて雨上がりへと走り出す彼女。オジサンの方もまた、彼女に傘をさしかけたことで思い出したことがあった。

特筆すべきはラストシーンだ。堤防を向かい合って進んできた二人が交差して立ち止まる。二人は向かい合い、彼女はとても印象的な言葉を放つ。それは恋を諦め、友達としてつながって行こうという決意。恋人以上の友達。映画はここでエンドマークとなる。言葉を交わした後、二人はそれぞれの方向へ、お互いに背を向けて進んでいくということを示唆したままに。このラストシーンは心にとどめておきたい名シーンであった。

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