道内初のビオディナミワイナリー
上富良野町でこの秋から始動

持続可能なバイオダイナミック農法を実践するトカプチ株式会社(本社・十勝管内更別村)が、上富良野町内にワイナリーを新設しました。十勝岳連峰を望むこのワイナリーは神々の山の尾根を意味する「カムイメトッヌプリ」と名付けられ、この秋に収穫したブドウの醸造を進めています。

大雪山系と夕張山地に三方を囲まれた富良野盆地は、昼夜の寒暖差が大きくブドウづくりに適した土地。同社では2014年から上富良野町で有機農法によるブドウ栽培を始め、ワイン用品種の「山幸」を中心に育てています。これまでは岩見沢市の10Rワイナリーで委託醸造をおこなってきましたが、この秋からは自社醸造所での仕込み作業が進められています。

ブドウ畑に隣接して建てられた醸造所は、作業場と熟成庫の2棟とも印象的な八角形をしています。建物には上富良野町や更別村にある自社所有の山林で新月伐採したカラマツを、丸太のまま2年ほど乾燥させて使いました。それぞれ200平米のゆったりとした作りで、収穫したブドウは巨大な圧搾機で果汁を絞り、特注したイタリア産陶器の壺の中で、天然酵母の力を借りてゆっくりと発酵、熟成が進んでいきます。

今年は猛暑の影響や虫、動物の食害を受けながらもブドウの出来はよく、上富良野町と本別町の圃場で収穫したブドウで、微発泡のペティアンや壺熟成のステイルワインなどを仕込みました。現在は熟成の真っ最中で、リリースは来春以降を予定しています。

栽培・醸造を担当する浜田和也＝写真＝さんは、この7月にオーストリア、スロヴェニア、イタリアで14カ所のワイナリーを視察。自然派ワインのヴァンナチュール製法を学び、山幸の特徴を引き出す技法を模索してきました。「この地の山幸ならではの香り、味の深みを活かしたワインを醸造していく第一歩を踏み出しました。山幸ならではの香りや味を最大限引き出したワイン造りをしていきたい」と笑顔を見せます。最新情報はインスタグラムで発信しています。