- ふしぎな布を手に入れた、ねずみくんの冒険物語。原作の陶人形はこの会場だけの発表です
- 陶芸家の石原さん。詩人のように、あるいは哲学者のように深い眼差しを世界に向けています
フランスや中国など海外でも注目される若手陶芸家、石原稔久(としひさ)さんの作品展が、北の嵐山梅鳳堂ギャルリ・アンヴォル(旭川市旭岡2丁目)で9月24日(日)まで開かれています。
石原さんは武蔵野美術大学彫刻科を卒業後、2000年に出身地の福岡県で築窯。培った彫刻の技術をベースに、手びねりとナイフによる削り出しで、日常使いのうつわや素朴で愛らしい陶人形を制作しています。土の素朴さの中に現代的な感性を落とし込む石原さんの作品は、穏やかな存在感が魅力です。
会場では、自作絵本「ねずみくんのふしぎなかばん」に登場する陶人形を展示しています。石原さんはこれまでにも焼き物の人形を主人公に童話を作っていて、これが6作目。絵本アプリ「ナニーロ」で公開されている新作です。自ら書いた物語に乗せて、登場するキャラクターや背景を陶器で制作しました。すこしムラのある淡い色合いの着彩が、物語の優しい世界観をいっそう豊かに伝えます。今回は全28シーンを、ストーリーに添って並べました。また別室の会場では、石原さんがライフワークとして作り続ける仏像も展示しています。これまで1000体以上を作り続け、「心を解く」姿を表現した「解仏(げぶつ)」にたどり着きました。本展ではおよそ20点が並びます。
自身をアイデア作家と称するように、これまで美容師やオートマタ作家、布作家や木工作家など異業種とコラボし、多彩な世界観を表現してきた石原さん。「様々な作家やジャンルとの仕事が、新しい発想へと繋がっていきます。いろいろなカテゴリーに挑戦することは、まだ見ぬ自分に出会えることなんです」。そう語る石原さんの挑戦はこれからも続いていきます。
開場は午前11時から午後5時。買物公園の梅鳳堂(旭川市3条通8丁目)では同期間、石原さんのうつわ作品も紹介しています。いずれも火曜休廊。問い合わせは梅鳳堂(TEL:0166-23-4082)へ。