昨年秋からライナー創刊40周年記念企画としてお届けしてきた「旭川ふしぎ発見!」が、3月末で連載終了を迎えました。監修を務めた元NHK旭川放送局長で郷土史ライターの那須敦志さんに、連載を振り返っていただきました。

1957年12月、旭川市生まれ。中央小学校、常盤中学校、旭川北高校に通う。明治大学文学部を卒業後、NHKに入局。道内各地や東京で放送記者としてキャリアを積んだあと、2010年から4年間、旭川放送局長を務める。2025年3月に旭川叢書「知ってほしい、こんな旭川―珠玉の郷土史エピソード集―」を上梓
―郷土史に興味を持つようになったきっかけを教えてください。
「旭川の歴史を伝える活動を始めて10年余りになります。きっかけは2度目の旭川勤務時代、NHKに保存されている古いフィルム映像を知人の郷土史家に見せた時のことでした。
『これは今の◯◯のあたりですね』『建物や道路の様子から◯年頃の映像でしょう』。解説を聞くと、それまでただのレトロな街並みにしか見えなかった映像が、急に生き生きとしたものに変わったんです。マチというものは地層のように時代時代の積み重ねがあって今に至っている。そのことを実感した瞬間でした」
―旭川の郷土史に引かれた一番の理由は。
「関連の本を読みあさるうちにエピソードの面白さにすっかり引き込まれたんです。特に大正末~昭和初期の文化活動の活発さには驚きました。
交通の要衝であり、商都としても発展した旭川には文化を育む土壌がありました。この時期は、詩人の小熊秀雄や今野大力、画家の高橋北修らが活躍し、北原白秋、若山牧水、宮澤賢治、芥川龍之介といったビッグネームも旭川に足跡を残しています。
またこの時期は、新しい感性を持った開拓2世が街作りの主役になり始めていました。そんな“旭川の青春時代”を描いて上演した歴史市民劇『旭川青春グラフィティ ザ・ゴールデンエイジ』の脚本を書いた事も忘れられない取り組みです」
―連載では語り口調の文章と写真を多用した構成が印象的でした。
「NHK時代、『中学生でも分かる言葉で伝えるのが基本』と叩き込まれました。それが身に染み付いているんです。さらに楽しんで読んでもらえるよう、クイズ形式で歴史を紹介しました。
それとテレビ育ちなので文字だけで情報を伝えるのは不安なんです。ですから旭川叢書も含め、写真や図版をふんだんに使いました。実は関連の写真が手に入らず紹介していない話もたくさんあるんです。4月から始まるまちなかぶんか小屋での歴史講座では、連載や叢書には載っていないエピソードを中心にお話する予定です」
―那須さんにとって郷土史とは。
「ふるさとの歴史は私たちに誇りや勇気、そして示唆や教訓を与えてくれるものだと思います。それは地域にとって大切な〝遺産〟なんです。連載を通して少しでも多くの方にその魅力を届けられたのなら大変うれしく思います。旭川の歴史にはまだまだ面白い話がたくさんあります。興味を持たれた方はぜひ旭川叢書を読み、歴史講座に足を運んでみてください」
4月からぶんか小屋で連続講座
旭川の歴史を楽しみながら学ぶ連続講座「もっと知りたい!旭川」の4シーズン目の講座が、4月12日(土)から始まります。講師は郷土史ライター&語り部の那須敦志さんです。
受講料は資料代込みで各回500円。各日午後1時30分開場、2時開講。会場はまちなかぶんか小屋。要予約で、定員は各回30人程度。申し込みはまちなかぶんか小屋(Tel.0166-23-2801)へ。講座のテーマは以下の通り。興味のあるテーマだけの聴講も可。
▽4月12日(土)=徹底解説!大正末旭川詳細図
▽5月10日(土)=旭川の“川”の歴史を掘る!
▽6月14日(土)=澤口家映像~昭和初期のホームビデオに見る旭川~
▽7月12日(土)=深堀り!小熊秀雄~社会部記者ヒデオ~
▽10月11日(土)再考!第七師団と旭川
▽11月8日(土)第4弾!おもしろ郷土史エピソード集











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