二十歳のころ、何してた？
「惹かれるままに今がある」

京都で学生生活を送ってたよ。祖父が骨董好きでね。でも父も兄弟3人も全く興味なし。じいさんの血を引いたのは自分だけ(笑)。身近にたくさんあったってこともあるけど、とにかく古いものが好きだったね。学生だからお金もないし、欲しい物も買えなかったけど、古い町並みや神社はよ～く見て回った。伏見稲荷神社での骨董市で、なぜか尺八を買ってさぁ。何度か吹いてみたけど音は出ない…。友人に譲ったよ。

卒業後は家具問屋で修業して、30代で家業の家具製造マルミツに入社して。全国各地、営業で飛び回りました。行く先々で購入した骨董は奥さんに内緒だからさ。隠しては、取り出して、ニヤニヤ笑ってた。好きなものに囲まれるのって幸せな時間だよ、ストレスがなくなったな。ある時、筒描きという島根伝統の古布を買っていったら奥さんが喜んでね。今や古布専門のお店やってますよ。

なるべく買う努力はするんだけど、やっぱり値段がつかない持ち込み品もある。でも大切にしてきた思い出の品だから、よければ引き取りますよって声掛けるんだ。