1. ライナーウェブ
  2. ニュース&記事
  3. おでかけ
  4. 弱虫ペダル

必要なのはペダルを回す足だけや!

弱虫ペダル

この記事は最終更新日から1年以上経過しています。
内容のー部もしくは全部が変更されてる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
ⓒ2020映画「弱虫ペダル」製作委員会 ⓒ渡辺航(秋田書店)2008

熱い。スポーツを通じて芽生える葛藤、挫折、友情、達成感。そういったものがありったけ詰まった青春映画だ。

一見スポーツとは無縁のオタク少年が自転車競技に目覚めて優れた選手になる。その一見かけ離れた場所がちゃんと必然性をもってつながる。この作品の力はそこにある。そして周辺に配置された仲間たちの個性。もう愛すべきキャラクタばかり登場する。あなたの好きな人物がこの中に必ずいるだろう。わたしはちなみに巻島先輩が好き。

この映画が素晴らしいのは、描く内容を潔く絞ったところだ。主人公が入部するまでと、入部後の県大会しか描かれない。原作はその後も時間が流れ、キャラクタたちは文字通り年齢も成長して境遇にも変化があるなど、大河ドラマの様相を呈している。本作はその最初のエピソードだけをじっくり描く。もう一つ潔いのは、青春映画でありながら「恋愛」を徹底的に排除したところだ。ヒロインを橋本環奈が演じているけれど彼女は誰とも恋仲にならず、そして彼女以外は、そもそも名前のある女子が登場しない。

自転車競技を描いた作品だけれど、自転車に興味が無くても楽しめる。後味の良い良質な青春映画として広く皆さんにお勧めしたい。(映画ライター・ケン坊)

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

もっと読む

ボロボロのママチャリでひたすら千葉から秋葉原まで、往復90キロを毎週走り続けたオタク。彼は知らず知らずのうちに、ロードレースのクライマーとしてとんでもない資質を磨いていたのだった。というこの設定によって、オタク少年が一級の自転車選手になる、という飛躍に必然性を持たせている。この根拠に不都合がないため、一見無茶に見える話にリアリティがあって共感を呼ぶ。そして彼を取り巻く登場人物がいずれ劣らぬ魅力を持っている。どうでもいいキャラクタは一人もおらず、全員が魅力的だ。どの一人をとっても主人公にしてスピンオフ作品を作れるほどに、魅力がある。

わたしはこの作品を見るまで、自転車競技といえば競輪しか知らなかったので、こんなふうにチームで戦うものだとは知らなかった。チームと言っても駅伝のようにリレーするのではなく、全員がスタートからゴールまでを走る。ただ、チーム内で一番最初にゴールした人の順位が、そのままチームの順位になるようだ。このルールはなかなか面白く、これによって競技に戦略性が生まれる。個人技の強い選手を集めても、優れた参謀がいなければ勝てないのである。これが作品に面白さを添える。

主人公のチームにはその「優れた参謀」である金城という上級生がいる。彼を中心に、得意分野の異なる選手たちが集まっている。そして新入生には、その上級生一人一人に対応するタイプの選手がいて、それぞれ直属の先輩について技術を磨いていく。この点でバディもののようなパートナーシップが生まれる。同学年の横のつながりと、上級生との縦のつながり。それを複合的に描く、部活ものとして見事な人物配置だ。

2時間ほどの上映時間で、本紙も書いたように内容はかなり絞られてはいるものの、それでも駆け足感はある。県大会ではライバル校とのやり取りが少し描かれるけれど、ここで描かれている強敵がどういう背景を持った人物なのかは描かれない。これ自体がうまい割り切りでもあるのだけれど、これによってクライマックスのバトルは敵側の思いが見えないという物足りなさはあった。それはしかし原作が大河ドラマなのだから、この映画としてはやはり割り切りの潔さをこそ褒めたいところではある。

シンプルな青春映画なのに、いや、だからこそと言うべきかもしれないが、熱く胸に刺さる作品であった。またしばらく時間がたったら、もう一度見たくなるような作品だろう。

関連スポット

イオンシネマ旭川駅前

道北最大級の8スクリーン1,200席

イオンシネマ旭川駅前

住所:旭川市宮下通7丁目2番5号 イオンモール旭川駅前4F

TEL:0166-74-6411/駐車場:900台

宮下通/アミューズメント

  • 駐車場
シネプレックス旭川

シネプレックス旭川

住所:旭川市永山12条3丁目ウエスタンパワーズ内

TEL:0570-783-882

永山/アミューズメント

関連キーワード

シネマの時間 バックナンバー

キングダム 大将軍の帰還
震える。心の奥底が。実写版「キングダム」も四作目を迎え、物語は一つの大きな区切りとなる。このシリーズの作品は過去にも紹介していて毎度書いているような気がするけれ... (7月19日)
九十歳。何がめでたい
なにもかもが奇跡みたいな映画だ。原作はあまりにも売れた佐藤愛子のベストセラーエッセイであり、著者は昨年100歳を迎えられてなお健在である。このエッセイをもとにし... (6月28日)
ブルー きみは大丈夫
毎週映画館に通っているのに、この映画の予告を見た記憶がない。今回新作のリストを眺めてタイトルだけでこの映画を選び、まったく知らないまま見たのだが、何度も胸がいっ... (6月21日)
帰ってきた あぶない刑事
8年前、『さらばあぶない刑事』で「サラバだぜ」と言っていたはずの「あぶ刑事」シリーズ、まさかの新作が登場。今回は特にこれで最後だぜという宣言はされていないのだが... (5月31日)
猿の惑星/キングダム
またまた来ました『猿の惑星』シリーズの最新作。こうなってくるともうどこまでも続けるのだろうなという気配が感じられる。1968年のシリーズ第一作のすばらしさはいさ... (5月17日)
PRインターネット広告掲載はこちら »

ニュース / キーワード

ようこそ、ゲストさん

メールアドレス
パスワード

※パスワードを忘れた方はこちら

はじめての方はこちら

アカウント作成

ライナー最新号

2024年7月26日号
2024年7月26日号
ヘラクレスが当たるくじ
他イベント盛りだくさん
28日にわっさむ夏まつり
紙面を見る

ピックアップ

注目グルメ
注目グルメ
定番から新作まで
ライナーが今注目する
お店の味はこれだ!
つくろう旬レシピ
つくろう旬レシピ
プロの料理人が教える
季節の食材を使った
絶品レシピをご紹介
味な人
味な人
北北海道で食に携わる
人々の横顔をご紹介
シネマの時間
シネマの時間
映画ライター・ケン坊が語る新作映画と
そのみどころ
みらい農家
みらい農家
地域の未来を
耕す人たちを
紹介します
ものぴりか
ものぴりか
ライナーが集めてきた
地元の素敵な品々を紹介します
不動産情報
不動産情報
不動産・リフォーム等
住まいに関する情報を公開中
クーポン
クーポン
お得なクーポンを公開中
お知らせ
お知らせ
お店・スポットの
お知らせ
ラーメンマップ
ラーメンマップ
ラーメン食べたいなぁ
そんなときは専用マップで探してみよう
開店・移転・閉店
開店・移転・閉店
旭川市・近郊エリアの新店や創業などの話題。情報提供も歓迎!
星占い
星占い
7/23〜29

ページの最上段に戻る