当麻鍾乳洞に伝わる龍伝説
4代目の全貌が明らかに

いにしえの時代、トウ・オマと呼ばれた一帯を飛び回り、大地を駆け巡ったという夫婦の龍―。先人たちはその龍を守り神とし、土地の発展を願いました。北海道の天然記念物に指定されている当麻鍾乳洞(当麻町開明4区)は、この龍神が休む場所だったと伝えられています。

平成4年、町は開基100年を記念して、伝説にちなんだ絵本やキャラクターを発表しました。地元商工会の夏祭りは「蟠龍(ばんりゅう)まつり」と名を変え、「龍おどり」で感謝を捧げるイベントとして例年多くの観光客で賑わいます。長崎県の郷土芸能として知られる「蛇(じゃ)踊り」をベースにアレンジされた龍おどりは、巨大な張り子の龍を10人ほどで操作する迫力ある踊り。およそ20年前に制作した3代目に破損が目立つようになったことから、今回新たな龍の制作に踏み切りました。

「初代から3代目までは、『龍』らしい緑の鱗でした。4代目ではより北国らしさを表現したくて、寒色とアイヌ文様を取り入れています」と話すのは、全体のデザインを考えた広報係長・弘中芳春さんです。全長20メートルに及ぶ龍の鱗は一枚一枚濃紺に塗り上げられ、腹には町内在住のトンコリ奏者でアイヌ民族のOKIさんが手描きしたデザインを水野染工場が染め抜いたアイヌ文様が浮かんでいます。制作は長崎で蛇踊りの張り子を制作している河野謙さんが担当。おおよそのパーツは長崎の工房で制作し、先日当麻町で最終的な組み立てを行いました。

「現在は町内の公民館『まとまーる』で展示しています。6月のかたるべ祭りや8月の蟠龍まつりで、実際に動く姿を見られますよ」と弘中さん。問い合わせは当麻町広報係(代表電話0166-84-2111)へ。