1. ライナーウェブ
  2. ニュース&記事
  3. おでかけ
  4. クリード 過去の逆襲

巡る因果

クリード 過去の逆襲

この記事は最終更新日から1年以上経過しています。
内容のー部もしくは全部が変更されてる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
ⓒ2023 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.
CREED is a trademark of Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

今や伝説級のボクシング映画『ロッキー』。そのサーガの新編である『クリード』シリーズももう三作目だそうで、時の流れるのは早いものだ。本作ではもう、主人公のアドニスは現役を退いて指導者側に回っており、彼の師であるロッキーは登場しない。

思えばこのシリーズは当初から、過去のロッキーシリーズのストーリーとリンクした物語になっていて、常に時を超えた因果の宿命を描いていた。本作ではアドニス本人の過去が悪夢を連れてやってくる。前作で因果を断ち切り、死闘の末に勝利を収めたアドニスは、結婚もし、子どもも生まれ、すっかりセレブとなって悠々自適の引退生活を送っている。そこにかつて兄弟のように繋がっていた幼なじみが現れ、安寧に波風が立つ。

ボクシングシーンはアニメ的な表現になっていて、ただならぬ緊張感、臨場感がある。一方でストーリーはこれまでの作品に比してシンプルであっけなく、少々物足りなさも感じる。本作はロッキーサーガの終わりを感じさせるものだが、伝説の最終章としては少々すっきりしないものになったような気もする。

エンドロールの後にアニメ作品があるのだが、唐突感が強くて呆気にとられた。(映画ライター・ケン坊)

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

もっと読む

前作で重い宿命を断ち切り、栄光を掴んだアドニス。彼の物語であるクリードシリーズが作品を続けるためには、栄華を手にしたアドニスを再び前線に引き戻さなければならない。本作はそこに、「まだ語られていない過去」を絡めてきたわけだが、脚本の各所に無理が生じているように感じる。本作にはロッキーが出てこないことも相まって、やはりこれまでの作品よりもだいぶ薄い印象を受ける。

本作で敵となるのはアドニスの幼なじみのデイム。兄のように慕っていた人物なのだが、過去のある事件をきっかけに、デイムは収監されてしまい、アドニスは逃げ延びる。デイムは20年刑務所にいたことが語られるのだが、本編で語られる回想シーンを見る限りでは、刑期が20年にもなる罪状には見えない。実際に暴力を振るっていたのはアドニスであり、デイムは相手の仲間に囲まれてしまったアドニスを助けるべく、拳銃で脅しただけだ。ここで実際に発砲して相手を殺したりしていれば20年の刑期も頷けるのだが、どうも中途半端な設定に見える。

デイムとの再会で日常を脅かされたアドニスは、この因縁を断ち切るため、タイトルマッチの場でデイムと対戦することを決意する。ここでこれまでのクリードと同じ筋書きにハマるのだが、本作はその因縁がシンプルであり、かかわる人物も少なく、ストーリーの深みがあまり感じられない。加えて、誰もが予想する通りの展開でハッピーエンドに繋がり、取ってつけたような「幸せ」なラストシーンをどこか冷めた目で見ざるを得ない。

そう感じてみて、やはりクリードシリーズにとってロッキーの存在は非常に大きかったのだと思わされる。このシリーズにおいてロッキーはあくまで脇役であり、主人公はアドニスだ。しかし過去の二作はロッキーを中心とした人物関係の因果が語られており、複雑さがあり、歴史があり、深みがあった。本作はロッキーが登場しないことによって純粋にアドニスの物語になったのだが、とたんに奥行きが乏しくなった印象は否めない。

本作は主演のマイケル・B・ジョーダンが監督も務めたことで話題になっているが、エンドロール後に追加されている意味不明なアニメ作品といい、彼がこの「クリード」というシリーズをどうしたいのか、その意図がわからない。

関連スポット

シネプレックス旭川

シネプレックス旭川

住所:旭川市永山12条3丁目ウエスタンパワーズ内

TEL:0570-783-882

永山/アミューズメント

イオンシネマ旭川駅前

道北最大級の8スクリーン1,200席

イオンシネマ旭川駅前

住所:旭川市宮下通7丁目2番5号 イオンモール旭川駅前4F

TEL:0166-74-6411/駐車場:900台

宮下通/アミューズメント

  • 駐車場

関連キーワード

シネマの時間 バックナンバー

秒速5センチメートル
新海誠の稀有なほど美しいアニメーション作品を実写映画として再解釈した作品であるが、どちらかというと新海誠による小説版を元に改めて脚色し、映画化したもの、と見るの... (10月17日)
ベートーヴェン捏造
誰もが知っている歴史的音楽家、ベートーヴェン。彼にまつわる逸話はいろいろあるのだが、その大部分の根拠となっているアントン・シンドラーによる伝記は、捏造と改ざんに... (9月19日)
ヒックとドラゴン
だいぶ前にアニメーションの作品で同タイトルのものがあり、それも見に行ったのだが、それと似たような内容の実写版といった印象の作品である。この作品には原作の絵本があ... (9月12日)
バレリーナ:The World of  John Wick
ジョン・ウィックと言えば復讐の鬼的ドンパチアクションシリーズ。シリーズを通じて数えきれないほどの人が死んだ映画である。本作はそのスピンオフで、一作目のエピソード... (8月29日)
ChaO
アニメーションは楽しい。そんな、絵が動くことの楽しさを改めて感じさせてくれる作品だ。独特のキャラクターデザインは好みがわかれそうだが、この絵が画面いっぱいに動き... (8月22日)
PRインターネット広告掲載はこちら »

ニュース / キーワード

ようこそ、ゲストさん

メールアドレス
パスワード

※パスワードを忘れた方はこちら

はじめての方はこちら

アカウント作成

ライナー最新号

2025年10月21日号
2025年10月21日号
常磐公園と旭橋を きれいにしよう 落ち葉拾い参加者募集
紙面を見る

ピックアップ

スーパーのお惣菜
スーパーのお惣菜
スーパーうまい!新米のお供編
注目グルメ
注目グルメ
定番から新作まで ライナーが今注目する お店の味はこれだ!
シネマの時間
シネマの時間
映画ライター・ケン坊が語る新作映画とそのみどころ
つくろう旬レシピ
つくろう旬レシピ
プロの料理人が教える季節の食材を使った絶品レシピをご紹介
味な人
味な人
北北海道で食に携わる人々の横顔をご紹介
ものぴりか
ものぴりか
ライナーが集めてきた 地元の素敵な品々を紹介します
不動産情報
不動産情報
不動産・リフォーム等 住まいに関する情報を公開中
クーポン
クーポン
お得なクーポンを公開中
お知らせ
お知らせ
お店・スポットの お知らせ
ラーメンマップ
ラーメンマップ
ラーメン食べたいなぁ そんなときは専用マップで探してみよう
開店・移転・閉店
開店・移転・閉店
旭川市・近郊エリアの新店や創業などの話題。情報提供も歓迎!
星占い
星占い
10/21〜27の星占い

ページの最上段に戻る