やりたいことってなに？
未来を選ぶヒントを教える

旭川市立緑が丘小学校(旭川市緑が丘3条4丁目、佐藤智昭校長)は、1月、6年生54人を対象に職業体験授業を実施しました。講師は革靴や革製品を製作、販売する皮革工芸キクヤ(旭川市9条通7丁目)の新崎史尚さん。この特別授業は、子供たちの将来の職業選択の幅を広げる目的で2014年から続いています。これまでドクターヘリに搭乗する看護師やテレビアナウンサーなどユニークな職業に就く人々から、現場の声を聞いてきました。

新崎さんは2012年に、親方の菊谷康生さんのお店を引き継いだ二代目。もともと趣味で財布などレザーのアイテムを作っていたところ、革や材料を仕入れるため店に出入りするうちに靴作りを勧められ、職人の世界に進むことに。一般向けに加え、医師の処方を元に症状にあわせた介護用革靴も製作しています。

子供たちは新崎さんの経歴を聞いたあと、用意された数種類の皮が何の動物のものか当てるクイズや靴磨きに挑戦しました。ときおり投げかけられる質問に誠実に答え、最後は全員に「自分がやりたいことをはじめるのに必要なのは、学力じゃなくて学ぶ方法」とアドバイスする新崎さん。「何年も修行をしているけど、自分で履きたいと思える靴が作れるようになってきたのはここ最近のこと。職人の仕事には終わりがない。自分の生涯をかけて続けたいと思える仕事に出会えたのは幸運なことだった」と振り返る姿が印象的でした。

仕事の道具や手順に触れることで、自分らしい豊かな人生を送るヒントをもらった子供たち。間もなく迎える中学生活を前に、担任の与板和成教諭が「新崎さんのように、ずっと続けていきたいと思えるものにいつか出会えるよう、おもしろそうなことにどんどんチャレンジしてほしい」と子供たちに向けて前向きなメッセージを送りました。

▼皮革工芸キクヤ
ロータリー商店会が月に一度実施するイベント「イドバタ」にも出店し、革靴の文化や手入れの仕方について教えています。