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明けまして一作目。昨年の一作目がなんだったか覚えている人はおられるだろうか。そう。昨年は『ビーキーパー』で幕開けであった。今年はこの『ワーキングマン』。昨年に引き続きステイサム映画での幕開けとなった。こうなってくるともう新年最初はステイサム初めという恒例感も出てくる。例によって言うべきことは何もない。彼の演じる役が建築現場で働いている労働者だから『ワーキングマン』であり、昨年のは養蜂家だったから『ビーキーパー』であった。無論、主人公の職業がなんであれ属性はステイサムであり、大勢に影響は無い。
今回の敵は麻薬から人身売買までなんでもありのマフィア。アメリカでは麻薬犯罪は憎むべきものとして頂点に君臨しているようで、麻薬を扱う組織に対してはどのような復讐も許されるという映画が多い。非道な敵に凶悪な行為をさせ、ステイサムが圧倒的な強さでそれを滅ぼす。アメリカ的な痛快さを英国の流儀で見せるのがステイサム流だ。もちろん大方の予想通りの物語が展開されるわけだが、もとよりこれが好きな人しか見に来ないから観客の満足度も高いのだ。そろそろこれを見ないと年が明けないという御仁もいるのでは?(映画ライター・ケン坊)
ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム
この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。
年始のステイサム映画ということでどうしても昨年の『ビーキーパー』と比較してしまう。もちろん何の関係もない作品なのだが、キャラクターの設定や物語の背景などは『ビーキーパー』の方が何倍も面白かったと言わざるを得ない。『ワーキングマン』は彼が労働者であることにまったく意味がなく、単に元特殊部隊の凄腕が大暴れするだけの映画になってしまっている。テーマ性もほとんどなく、娯楽映画としてもやはりもう少しやりようはあったのではないかと感じる。
物語の設定で気になる点として、今回敵として描かれているのがロシアマフィアである、という点がある。冷戦終結後、ロシアを仮想敵として映画を作ることにはある種の抵抗感があり、あからさまにロシアと敵対する設定は減っていた。麻薬組織と戦う作品も多くはコロンビアを始めとした南米のものにする傾向が見られたが、今回は麻薬、人身売買なんでもありの凶悪な犯罪組織をロシアマフィアと名言して描いている。それが直ちに国の傾向を表しているとはさすがに思わないが、大っぴらにロシア人を敵として描くことに対して抵抗がなくなってきた、憎むべきものとしてロシア人を描いても良いと思わせるだけの敵意が世論としても広がってきた、と言えるのかもしれない。
全体的に敵側が頭の悪い人物として描かれているのも作品の面白さをスポイルしているポイントのように思う。物語にテーマ性も深みもなく、敵として出てくる大物にも魅せる人物がいない。単にステイサムが暴れるだけの映画と化している。共同脚本としてシルベスター・スタローンが参加しているようだが、そう言えばエクスペンダブルズもステイサム映画になって内容が薄くなっていたし、ステイサムはスタローンと組まないほうが良いのではないかとさえ思う事態である。ステイサムが暴れれば痛快ではあるが、本作はあとに何も残らない作品になってしまった印象がある。






















