
- ©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
プレデターとして知られるあの地球外生命体の種族。彼らの中の落ちこぼれである主人公が、危険な生物のひしめく惑星でサバイバルをしながら成長していく物語である。そう、この作品はプレデターの成長譚なのである。
戦闘民族であり、個の力が重視される彼らの種族。その中で弱い者として切り捨てられた主人公は、自らの力を証明すべく、危険な惑星に単身赴き、最も恐れられている生き物を狩ろうとする。しかし道中で様々な出会いがあり、彼は少しずつ考え方を変化させていく。彼の種族の中で弱さとされていたものが、苛烈な経験を通して強さに転じる。本来彼が目指していたのとは異なる大きな力となって彼を強くする。
主人公が仲間を得て成長し、圧倒的劣勢の中で奮闘していく物語はとても面白い。画面に登場した様々な要素がしっかり伏線として回収されるのも心地よく、SFファンタジー的な作品としてとても楽しめる映画だと言える。ただ、これがプレデターである必要はまったくない。単にあの生き物が主人公であるというだけで、過去のシリーズともまったく関係ない。プレデターにまったく興味のない人でも新鮮に楽しめる冒険譚なのでSFアクションとして楽しんでほしい。(映画ライター・ケン坊)
ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム
この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。
これまでのシリーズで描かれてきたプレデターは「ヤウージャ族」という種族であり、戦闘民族であるとして描かれている。宇宙から来た侵略者というイメージで描かれてきた彼らの文化に注目し、強さが求められ、弱きは淘汰されるべし、という種族の掟のようなものが描かれている。プレデターと言えば光学迷彩を始めとした超ハイテク兵器を駆使する宇宙人というイメージなのだが、それに比して彼らの母星は荒涼とした風景で、文化も退廃的で野蛮なものとして描かれている。彼らの使用する宇宙船や武器のハイテク感とのミスマッチが否めない。
本作はその種族で弱者として淘汰されそうになっていた主人公が、自らの強さを示すべく危険な惑星へ一人で赴き、一族の間で恐れられている生命体を狩ろうとする物語である。
道中で彼は上半身だけになっていたアンドロイドと出会い、共闘することになる。このアンドロイドはエイリアンシリーズに登場する会社が作ったという設定で、エイリアンシリーズとのつながりを感じさせるシーンもいろいろと描かれる。特に終盤に登場するパワードマシンはエイリアン一作目を彷彿とさせるものだ。
この作品が描いているのは、なにもかも失った主人公が危険な環境を必死に生き抜き、その道中で出会った者たちと心を通わせ、仲間になることで本来目指していたのとは異なる強さを手に入れるという成長譚である。種族や利害関係を超えて繋がった仲間たちと一蓮托生、運命を共にすることで支え合い、一人では得ようがない大きな力を手に入れる。そういう視点で見ると『ハウルの動く城』みたいな話であるとも言える。
ストーリーは面白く、視覚的にかっこいいシーンも満載で好印象である。唯一、プレデターである必要がまったく感じられない、という点だけが少々気になるものの満足感は高い。






















