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実在のエクソシスト、ウォーレン夫妻を題材にしたシリーズの完結編として登場したのが本作である。死霊館シリーズと言えばアナベルというオソロシイ人形を覚えている人も多いのではないだろうか。本作はシリーズの集大成としてウォーレン夫妻とその娘、さらに彼女の婚約者も巻き込んでの二世代共闘の物語になっている。あのアナベル人形もウォーレン夫妻の家に封印された状態で登場する。
このシリーズはスタート時点から一貫して王道ホラーの路線を守り続けていて、新しさは無いものの、奇をてらった奇妙な展開もなく、シンプルに正しく怖い。ど真ん中のホラー映画として安心感がある。これほど長い間、コンスタントに作品が作られ続けていることこそが、この王道路線が間違っていなかった証拠と言えるだろう。
本作も王道ホラーとしての怖さに満ちている。鏡、人形、地下室、屋根裏。思いつく限りのホラー的要素を次々に繰り出す。音楽も不吉な予兆に満ちていて気分を盛り上げる。どこをとっても意外性や斬新さとは無縁なのだが、既視感のある要素ばかりでも十分怖い。シリーズを未見でも十分楽しめるのでホラー好き諸氏はぜひ見に行ってほしい。(映画ライター・ケン坊)
ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム
この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。
ウォーレン夫妻の娘にまつわるエピソードを扱ったストーリーである。冒頭で彼らの娘、ジュディが誕生するのだが、その誕生時に悪魔の介在がある。この時触れた見るからに禍々しい鏡が巡り巡って引き起こす超自然的な現象に、娘のジュディを含むウォーレン一家が立ち向かうという物語である。
2013年から始まった死霊館シリーズは、数々のスピンオフ作品も含めてほぼ毎年のように作品を後悔してきた。当初から王道のホラーであり、あるエピソードからその前日譚のような物語が作られるなど、時系列を行ったり来たりしながら脈々と物語を紡いできている。本作はその完結編とされていて、ウォーレン夫妻の最後の事件を扱っている。
一応本作がラストとされてはいるのだが、本作ではエドとロレインのウォーレン夫妻の娘ジュディが登場し、作中でジュディはトニーという青年と結婚する。本楽のラストではエドが呪われたものを封印している貯蔵庫の鍵をトニーに引き継ぐというシーンが描かれる。このシーンはトニーを娘婿として、家族として迎えるという意思表示として描かれているのだが、見ようによってはウォーレン夫妻のやってきたエクソシストを、ジュディとトニーの夫婦が引き継いでいく、という風にも見える。つまり、世代交代をして死霊館シリーズが続いていくという可能性も、残されたと言えそうなのだ。
シリーズが継続するかどうかはともかくとして、12年にわたって王道ホラーを作り続けてきたシリーズの一旦の完結編として、その期待をまったく裏切らない作品が登場したのは喜ばしい。シリーズの名キャラクターであるアナベルもちゃんと登場するなど、往年のファンにも嬉しい仕上がりになっている。