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ちょっと死んできます

一度死んでみた

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©2020 松竹 フジテレビジョン

生きてる間に一度ぐらい、やってみたいことってあるよね。おそらく太古の昔から人の永遠の夢なのがこれ、死んでみる、というやつ。死は誰にでも訪れるけれど、死んでしまうと戻ってこられない。もし戻ってこられるなら一度死んでみたい人、と言ったらけっこうな人が手を挙げるのではないか。

本作はその「一度死んでみる」という事態を描き、そこから生まれるドタバタを見せるコメディだ。コメディは度を越していて、チョイ役にまで凄腕の俳優を揃え、本気で笑わせてくれる。それでいて、父親に対して「死んじまえ」とか言ってしまう若い女性が、その父が本当に死んでしまうことによって大切なことを発見する、といったテーマもしっかり描かれている。

やっていることはやりすぎなほどのドタバタだし、一時的に死んでみるとかいうことがあっさり行われる。ほとんど荒唐無稽な話なのに、細かく伏線を張ってしっかり回収したり、バカバカしい内容も惜しげなく名優を投入してまとめている。

一番の見どころはやはり広瀬すずのデスメタルだが、この人は本当にうまいですね。作中で少しずつ変わっていく主人公を見事に演じている。ちょっとただごとじゃない芝居です。必見。(映画ライター・ケン坊)

「一度死んでみた」公式サイト

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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製薬会社の社長というサイエンスな父さんと、その父親に反発するメタル少女という親子。子ども時代の回想シーンで、少女はむしろお父さんっ子で、幼いころから元素の周期表を丸覚えしていたりする。その分反抗が大きくなった、ということなのだが、この回想をちゃんと描くことで、その後のシーンを裏付けるようになっている。どのシーンにも無駄がまったくないのだ。

冒頭のライブシーンでは、デスメタルバンドのステージ演出としてステージ上に棺桶が置いてあるのだけれど、この棺桶まであとでしっかり回収する。途中に出てくる余談みたいな話もすべて伏線になっていて、ドタバタの笑いのために配置してあるようなエピソードが全部つながってクライマックスを盛り上げる。見事な脚本だ。こういうドタバタの場合、細部のつじつまが合わなくても、ご都合主義が暴走しても、それほど大きな問題はない。勢いでどうにでもなるし、実際この作品にはそういう勢いもある。それなのに、勢いで持っていくのではなく、ちゃんと構成を練ってまとめてある。わけのわからない展開も全部回収されるため、大変な満足感がある。

すずちゃんのメタル、というのが見どころだし実際とても見応えがあるのだけれど、この映画はそんなレベルではなく、コメディ映画史に名を残しても良いぐらいの、完成度の高い笑いだと感じた。

細かいところでも笑わせてくるし、クライマックスはどこまでもエスカレートしてムチャクチャなことになる。「大嫌いな父親が本当に死んじゃった」という事態から得られる教訓めいたものを描きながらもクサい感じにはならない。泣きに持っていくところから笑いへひっくり返すさじ加減も素晴らしい。最終的にはいい話に着地するけれど、ラストシーンでも笑いを忘れないところが良い。

不謹慎だと言ってしまえば全編にわたってそれはもうすべて不謹慎だし、一部罰当たりだし、いいのかこれ、というネタにまみれている。郷ひろみもほとんどおちょくるみたいな感じで扱われているけれど、エンドロールでは「スペシャルリスペクト」としてクレジットされていた。このクレジットも含めて悪ふざけのようでもあるけれど、それを快諾した郷ひろみサイドはもちろん最高に「粋」だ。

ベタ褒めみたいになったけれど、特に悪いところは見当たらない。文句なしに面白い作品であった。

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