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身近な施設や昔からあるけどここってナニ?という場所を、ライナー編集部が密着取材し紹介します
気になるあの施設へ潜入!

英国の庭をベースに北国の気候・風土にあわせて自由にアレンジした北海道ガーデン
上野ファーム
住所:旭川市永山町16丁目186TEL:0166-47-8741/定休日:月曜日、年末年始 ガーデンの公開期間はホームページにてご確認ください/駐車場:あり
永山町/体験見学・農牧場
- ランチ
- 駐車場
オープン以来着実にファンを増やし、今や旭川を代表する観光庭園。イングリッシュガーデンの様式をベースに、北海道ならではの気候や風土を活かした「北海道ガーデン」というスタイルを確立した。宿根草を中心に、様々な種類の花や植物が作り出す一期一会の景色は、1年を通して作り上げるアートのよう。また、古い納屋を改装して作られた「ナヤカフェ」を併設し、軽食やドリンクを片手に楽しむことができる。
儚くも美しい、ガーデンのウラ側へ 華やかな世界の地道な仕事

シーズンを通して咲く花々が、毎年2000種以上。開園時期の4月から夏、そして閉園時期の秋にかけて、咲いては散りを繰り返し、常に表情を変えて楽しませてくれる。取材時の5月半ばはチューリップがカラフルに咲き乱れ、白樺の木の白とのコントラストが美しかった。心地よい風に吹かれながら、なにも考えず「きれいだなあ」と癒されているが、果たしていまこの瞬間は、どのようにして作られているのだろうか。本格的なシーズンに向け多忙を極める、ガーデンデザイナーの上野砂由紀さんに取材を敢行。見た人の心を動かす庭づくり、そのウラ側へいざ密着。
常にベストな庭を 毎朝のルーティン

息つく暇もない一日は、朝の花がらとりから始まる。古くなった花を一つひとつ手作業で取り除き、ベストな状態でお客さんを迎え入れるのだ。ガーデンチームは、毎日2~3人の少数精鋭で作業を行う。全部で含めて10のエリアからなる広大な敷地を、その人数で管理しているというから驚きだ。

花がらだけでなく、無尽蔵に増え続ける雑草とりや、芝刈りも大事な仕事。エリアを区切って計画を立て、常に整えられたきれいな状態を保っている。芝の整備は一番手間がかかるそうだ。取り除いた花がらや雑草、刈られた芝は、園内にある軽トラックで堆肥置き場に運ばれ、最終的には堆肥となって畑に還る。グリーンの車体は、一見すると気付かずに通り過ぎてしまうが、よくよく見ると荷台にはこんもりと山ができていた。
ガーデンは研究の場 真冬に始まる苗づくり
ガーデン内を歩いていると、黒いポットに入った苗がいたるところに置かれていた。冬のうちから計画を立て、品種ごとの開花時期の違いを計算し、花が咲いた時のバランスを考えながらイメージを膨らませる。その計画をもとに、上野さんが植える場所を決め、総出で植えていくのだ。
毎年のトレンドを取り入れ、新しい品種を見てもらうのもガーデナーの仕事だと上野さんは話す。苗は市内近郊だけでなく全国各地から仕入れているのだが、上野ファーム内で種から育てているものも多い。まだ雪が積もる2月頃から種を仕込み、春までじっくりと育てた苗を、5月いっぱいかけて植えていく。
家庭菜園用に苗の販売もしており、なかなか手に入らない珍しい品種も多いが「本当に育てられるの?」と思ったことはないだろうか。実は、新しい品種の苗は、一度ガーデン内でちゃんと育つかどうかをテストしていたのだ。前述の通り、積極的に新しい品種を取り入れているが、北海道の気候に合わずに枯れてしまったり、育たなかったりするものもたくさんあるという。ガーデンは、展示の場としてだけではなく、上野さん自身の研究の場としての側面も持ち合わせていた。トライ&エラーでデータを蓄積していき、育てられることを確認する。それによって、安心して家庭菜園を楽しめる苗を販売できているのだ。
夕暮れの紅に染まるガーデナーだけの特権

地を這うように土と汗にまみれながらの作業中、低い姿勢から見上げるように見るのも好きという上野さん。花と同じ目線で横から見ると、花同士が重なって揺れ、奥には空が広がる。そして、最も好きなのは夕暮れ時。「西日に照らされて赤みがかった景色を見ると、心地よい疲労感もあいまっていつもよりジ~ンとくるんですよね」と教えてくれた。閉園後、働いているからこそ見られる夕景は、スタッフだけに許された特権。日暮れが早くなる秋には、その瞬間が見られるかもしれない。
さらに深部へ ルポ・あれこれ
野生動物にも注目。リスが人気者

木の上を走り回るリスや、園内に巣を作る野鳥の姿も。今年の冬は、たぬきの夫婦が訪ねてきたとか。あまりにも頻繁に来るので距離も縮まった気がしていたが、雪解けとともに姿を見せなくなったそう。
インパクト大のソフトクリーム

ガーデン内に多数潜んでいる妖精「ノーム」の顔が描かれたカップは、思わず写真を撮りたくなる。この顔を描いているのは、絵が得意な上野さんのお母様だった。まるで帽子をかぶっているような姿が愛らしい。
畑でかぼちゃを育成中

毎年恒例のハロウィン装飾に使うかぼちゃは、実はメイドイン上野ファーム。膨大な数を使うため、庭仕事をしながら秋に向けて畑仕事もこなし、大小さまざまなかぼちゃを大量生産していた。
編集後記
ひとつの品種の花が咲いている期間は、わずか2週間ほど。その一瞬のために、冬のうちから計画を立て、苗を育て、手間暇かけて地道にコツコツ準備をする。「きれいだねえ」という言葉や、作業中に見えるお客さんの嬉しそうな顔を見た時にやりがいを感じるという。きれいな花をめいっぱい楽しむことが最高のねぎらい。6月からはアリウムが見ごろというので、ぜひ見に行きたいと思う。











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