長年使いこまれた大きな焼き機から、次々に焼きあがる板海苔。光に透かし、真剣なまなざしで焼き色を確認し、わずかでも破れや穴があれば見逃さずに素早く弾いて仕分けします。

養殖地で板状に加工された乾海苔を仕入れ、自社で仕上げの焼きとカットを行う卸問屋の3代目。高校卒業後、東京・品川の卸会社で5年修行し、品質を見極める目と焼きの技術を身に付けました。冬が始まる今からが海苔の旬。とくに出始めはやわらかく、さらりと融ける口当たりを楽しめるため、佐賀や福岡、香川、兵庫などの産地から12月と1月に集中して1年分を買い付けます。

現在の取引先はおもに寿司屋で、密度が高く旨みが濃い海苔は風味を引き出すように軽く焼き、米の水分に長くあたる回転寿司用には強めになど、店ごとのリクエストに応じて丁寧に仕上げます。

海の中での養殖場の位置、台風などの自然条件、乾海苔を作る生産者の技術など、様々な要因が味に影響し、1枚ごとに状態が異なる海苔。「目指す味に仕上げられるよう研究を重ねています。うなぎ職人と同様、海苔も焼き一生です」と菅野さん。「ちょっと特殊な仕事ですが、これからも日本の伝統の味を守っていきたい」と力強く語ってくれました。