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シネマの時間 年末スペシャル

映画ライター・ケン坊

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2020年は人類史に残る、忘れられない年になった。生活様式は様変わりし、予定されていた映画は次々に延期され、映画館の在り方もまた大きく変わった。私も5月、6月と二カ月間まったく映画館へ行かなかった。それもあって複数の配信サービスに登録して自宅で映像コンテンツを楽しむ、ということを始めた。登録してからというもの、毎日のように映画を見ている。この年末スペシャルでは、この冬レンタルや配信などで楽しめそうな映画を、今年の作品を中心に、年末年始のおすすめとして紹介したい。

01.洋画編

ドクター・ドリトル

ドリトル先生の冒険活劇。エンターテイメント作品のセオリー通りに組まれたストーリーは意外性に乏しいけれど、その分安心感がある。人の言葉を話す動物たちはしぐさまで人間っぽく、ロバート・ダウニーJr. 演じるドリトル先生との掛け合いも楽しい。クライマックスの戦いはこの作品ならではのものになっていて、彼がお医者さんであることを改めて思い起こさせる。子どもと一緒に見る作品としてオススメ。

パラサイト 半地下の家族

世界を賑わせた話題作。格差社会をテーマに、一家総出で詐欺を働く家族と、その標的となった上流階級の一家を描く。ありとあらゆる要素が詰め込まれていて一時も目を離せない。ストーリーがとてもよく練られていて、犯罪も恋愛もスリルもバイオレンスもあり、笑いまである。社会問題をこういう形で描く力量には驚かされる。中盤以降の展開は予断を許さず、次々に驚きが訪れる。印象的なラストシーンであなたは何を感じるだろうか。

ロングショット 彼と彼女のありえない恋

立場の大きく異なる男女の恋愛物語をコミカルに描くコメディ。主人公の二人だけでなく、その周辺を取り巻く人物もみんな魅力に溢れている。特に主人公の親友が最高にいいやつ。こういう友達は大切にしなきゃいけません。次第に原稿から外れていく演説のシーンは彼女の心の動きがよく表れた名芝居で痛快。これぞアメリカだという描き方がされているけれど、果たして今のアメリカにこうした自由さはあるのだろうか。

ザ・ピーナッツバター・ファルコン

プロレスラーに憧れて施設から脱走したダウン症の青年の物語。ハンディキャップに対する考え方や、手の差し伸べ方などを考えさせられる作品。優しさが一方的な押しつけになり、相手を閉じ込めていないかと自問する。主人公と行動を共にするバディとしてシャイア・ラブーフが出演しているけれど、一見誰だかわからないほどにヒゲがボーボーだ。

17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン

フロイトの亡命直前を描いた作品。主人公の悩める若者を通してフロイトを描いた作品だけれど、伝記的に史実を描いているわけではなさそう。フロイト的精神分析が登場するわけではなく、あくまで人生の先輩として若者に助言を与える姿を描いている。フロイトはメインではなく、恋愛映画という印象だ。

02.邦画編

転がるビー玉

渋谷で一つの部屋に暮らす三人の女性。それぞれに夢を抱えて奮闘しているけれど、いずれもあまり芳しくない。何者にもなれないもどかしさと描き出されるリアルな日常に確かな肌触りがあり、エンドロールのその先で彼女たちに幸あれと願わずにいられない。夢を叶える才能も諦める才能もないという言葉が終わりのない閉塞感を象徴している。

水曜日が消えた

曜日ごとに別の人格が現れるという特異な多重人格を描いた作品。主人公は一つの身体に七人が同居しているような状態で、自分同士で日々申し送りをし合いながら暮らしている。同じ曜日しか生きることができないという現象は新鮮。明日も自分でいたい、という切実な願いが刺さり、改めて明日が今日の続きである保証などないと思い至る。エンドロールの仕掛けがとても楽しいので配信でもぜひ最後まで見て欲しい。

嘘八百 京町ロワイヤル

陶芸の世界を舞台に、贋作を使った騙しあいを描くあの作品の、まさかの続編。前作でおなじみの顔ぶれが揃い、悪徳古物商を相手に渾身の贋作を使った作戦を決行する。贋作を悪用するものたちを、贋作をもって成敗する。類まれな技術と真摯な職人精神で偽物を作るシーンは圧巻。そして本作のラストは次回作の存在を示唆している。もしかしてシリーズ化?

03.配信専用作品

アイリッシュマン Netflix オリジナル(2019)

この作品は配信サービスの一つ、Netflixのオリジナルコンテンツ。おそらくNetflix以外では見ることができない。マーティン・スコセッシ監督でロバート・デニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシがそろい踏みするというマフィアもの。配信という形式を想定して作られていて、映画というコンテンツの新たな在り方を提示している。なお、同時にメイキング映像のような、監督と主演級の俳優たちが撮影を振り返って語らうコメンタリーのような映像コンテンツも公開されていて、スコセッシ監督自身が新たなプラットフォームをどのように見ているのかが垣間見える。

04.番外編

コンテイジョン(2011)

これは2011年の作品だけれど、今こそ見るべきものだ。今年発生した感染症の世界的拡大という事態についての、予言的作品として話題になったものである。未見の人はぜひ年末年始に見てみてほしい。この作品に描かれているウィルスは現在流行している新型コロナとは比較にならないほど致命的な病状をもたらすもので、はるかに危険性が高い。しかし感染力やその経路、防ぎ方等は酷似していて、ソーシャルディスタンシングやこまめな手洗いといったことが重要であるとわかる。


外出自粛を機に始めた配信サービスでの映画鑑賞だけれど、一方で今年は4DXも積極的に鑑賞したし、相変わらず映画館へは足を運んでいる。気軽に見られる配信サービスと、足を運んででも体験する価値のある映像体験。これからの映画は楽しみ方が二極化していくのではないだろうか。また来年も、多様な映画の楽しみを皆さんにご紹介したい。

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