3年前のクリスマス、お店に一人の老紳士が訪れました。知人の孫にお菓子の家を届けに行ったという彼は、2004年に閉業した旭川市のニュー北海ホテルでパン職人を勤めていた人でした。

実は本州から移住してきたオーナー平林さんは、6年前の開店当時、作るパンのスタイルが似ているからと何人もの来店客にニュー北海ホテル出身と間違われ、「あのロシア黒パンを食べたい」とリクエストを受けていました。老紳士によれば、それはかつて来旭したロシアサーカス団のために作ったライ麦パン。素朴な粉の風味にキャラウェイの甘く爽やかな香りが郷愁を誘うと好評だったそう。教えてもらったレシピを元にこの味を再現した平林さんは「あの紳士や当時のお客様にも届くといいな」と笑います。