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なにが来るのか どこから来るのか

来る

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©2018「来る」製作委員会

ごめんなさい。単に忘れていたのに「忙しくて」などと言ったことがあります。大事なものを紛失したのに「頂いていないと思いますが」とか言ったこともあるかもしれません。社交辞令で思ってもないことを言ったり、コオロギを踏んづけたりしたこともあります。

そうした大小さまざまな罪を全部懺悔したくなる。『来る』とはそういう作品だった。

何かわけのわからない妖怪だか化け物みたいなものが襲ってくる。血みどろグログロスプラッタ。しかしそのおどろおどろしい定型ホラーの部分は、おそらくは無いとあまりにも洒落にならないから入れてあるのだ。この作品の怖さはそんなところにはない。なによりも怖いのは、描かれている内容に心当たりがあるところだ。およそ誰もがつつかれれば痛いこうしたうしろめたさを持っている。この作品はそれを白日の下にえぐり出し、おまえはこれを全部他人事だと言えるか、と問うてくる。今まで生きてきた全部を謝罪したいような気分になり、今も進行形で罪を重ね続けていることに気づかされる。ともすると死にたくなるのだ。この作品はそれを緩和するかのようにカルトに振り切った描き方をしている。

「あれ」はもうそこまで来ている。(映画ライター・ケン坊)

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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見ていてものすごく嫌な気分になるのに好きな映画というのがある。二度と見たくないのにDVDやブルーレイを買ってしまう作品というものが。普通そうしたディスクを買う動機というのは「何度も見たい」というものだと思うし私も本来はそうだ。ときどきそれを超越した、二度と見たくないのに買いたくなる作品というのがある。『来る』はそういう作品だった。ものすごくどうでもいい余談になるが、私がこれまでそういう理由で買い集めてきた作品群はすべてラース・フォン・トリアー監督の作品で、気づいたらほとんど全部持っているのに二度見た作品は今のところない。劇場で見た作品など、ディスクは一度も再生していないというものさえある。

『来る』にも共通するその「二度と見たくない」要素というのは何かと考えると、あまり考えるまでもなく、そこに自分が描かれている、ということなのだ。自分の暗黒面、ダークサイド、マイナス部分、そういう内側に隠してあるものが、魚の開きのように裏返されて目の前に提示される。その不快さといったらない。不快なのはそこに描かれているものが真実だからだ。

ホラー映画というのは一般に恐怖を描くもので、その恐怖には様々な形がある。「ホラー映画」として形骸化している恐怖もたくさんあり、この映画にはそういう恐怖も詰まっている。予告編はその「ホラー映画」の部分だけを取り出したものになっているが、実はこの映画の本質は全然そんなところには無いのだ。

ホラーという表現を使って「恐怖とはなにか」というテーマに挑んだとも言えるこの作品。ここに描かれている恐怖はこれまでのホラー映画にあった恐怖とは一味違う。得体のしれない何かはたしかに来る。なにが来るのかを伏せて恐怖感を煽っているが、実は問題は「なに」が来るかではなく、「どこから」来るかなのだ。それはどこかから来るのではなく、最初から自分の中に「いる」のかもしれない。

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