
戦後北海道美術を代表する造形作家・砂澤ビッキ(1931〜1989)の創作の歩みをたどる特別展「砂澤ビッキの生きた時代」が、北海道立旭川美術館(常磐公園内)で開かれています。旭川で生まれ独学で彫刻を学んだビッキが、木という素材に向き合い続けながら切り拓いた独自の造形世界を紹介しています。
斧や鑿を大胆に振るう力強い木彫から、繊細な文様を刻んだ作品、即興性に満ちたドローイングまで、1978年以降に制作拠点とした道北の音威子府村に遺された作品群を中心に、初期から晩年まで約100点が並び、その表現の変遷と広がりを浮かび上がらせています。
展示では完成作品だけでなく、ビッキの精神的背景にも焦点を当て、制作の傍らで読みふけったシュルレアリスムや民族芸術、自然と人間の関係を主題とする書籍などの蔵書もあわせて紹介。20世紀の美術や文学の潮流と、深く結びついた思考の軌跡を読み解く構成になっています。
さらに館内ロビーでは、かつて旭川工業高等専門学校の中庭に設置されていた大作『芽』を公開展示。ビッキが「風雪という名の鑿」と表現した自然の力を受け止めながら変化していく造形観を体感でき、自然と共生する創作思想の核心に触れることができます。
学芸課長・寺地亜衣さんは「時代や思想とともに、砂澤ビッキの豊かな造形世界を感じてほしい」と話しています。
入館料は一般800円、高大生500円、小中生300円。会期は3月15日(日)まで。会期中は、関連講座や学芸員による見どころ解説などのプログラムも実施。問い合わせは同館(Tel.0166-25-2577)へ。
