1. ライナーウェブ
  2. ニュース&記事
  3. 生活
  4. THE ウラ側密着 一冊の“重み”が価値になる

気になるあの場所へ潜入!

THE ウラ側密着
一冊の“重み”が価値になる

旭文堂書店

身近にある施設や商品、催し物など様々な仕事の舞台裏に、ライナー編集部が密着しました

気になるあの場所へ潜入!

古書の旭文堂書店

古書の旭文堂書店

住所:旭川市常盤通3丁目

TEL:0166-22-5987

常盤/書籍・文具, 質・リサイクル

昭和42年創業、旭川で50年以上続く老舗の古本屋。市町村が発行している古い郷土史や宗教書、哲学・思想書や建築の図面集など、専門性の高い本を中心に、幅広いジャンルに渡って買い取り・販売している。大手の古本屋にはないラインアップと、今までの経験で培った値付けを信頼し、長年通い続けている人も少なくない。親子3代に渡って店を守り続ける、業界内でも稀有な存在だ。

本と向き合う深い愛情 歴史を紡ぐ古本屋の役割

市内中心部からロータリーを経由し旭橋方面へ向かうと、左手に「本」と大きく書かれた看板が見える。旭橋を通ったことがある人なら、一度は目にしたことがあるだろう。店先に古本が棚に並べられているが、年季の入った引き戸は、開けるのを躊躇してしまいそうな雰囲気を醸している。入りにくさすら感じる佇まいの中にある日常は、一体どんなものなのだろうか。そのウラ側へ、いざ密着。

本だって、旅をする 老舗ならではのロマン

紙の本離れが叫ばれ、新刊の発行部数も減少している昨今、ひと昔前までは市内に10店舗以上あった古本屋も、今や数えるほどとなってしまった。理由のひとつに後継者不足という問題があるが、ここ旭文堂書店は2代目の中嶋宏彰さんと、3代目となる息子の悠太さんで店を運営している。

店の一番奥が宏彰さんの作業場だ

店に入ると、奥行きのある店内にずらりと並んだ棚に、びっしりと本が陳列されている。店頭にあるのはおよそ1万冊。管理しているものをすべて合わせると、約3万冊にもなるという。店舗での販売はもちろんのこと、2000年頃からはネットでの販売もスタート。古本に特化したサイトから某大手ネット通販でも販売しており、そのウェイトは8割を超えるという。全国各地に本を販売しているが、不思議なことに売った本が巡り巡って店に戻って来ることがあるそうだ。ページの隅が折られていたり、読了した日付が入っていたりと、手に渡ってきた人の足跡を感じられる本に愛着が湧くという。「人と同じで、本も旅をするのさ」と、宏彰さんの言葉が心に残った。

データベースは頭のなか 信用こそが商売の根幹

店内を眺めていると、バーコードのないものが並んでいることに気付く。それこそが、大手の古本業者との最大の違いだ。旭文堂で買い取りをする本や資料の中には、一般流通していないものも多く含まれる。郷土史をはじめ古い観光案内、バスの時刻表や切符などがそれにあたる。

郷土地図や観光案内なども取り扱う

また、買い取りの際は一度に大量の本に値付けをしていくが、一目見ただけで価値を判断できるのも、歴史ある古本屋ならでは。培ってきた知識と経験に裏打ちされた値付けから信用が生まれる。その積み重ねが、50年以上もの歴史を作っているのだ。

捨てられるものの拠り所 歴史や文化を次世代へ

顧客からの仕入れのほか、東京で開かれる古本屋同士の「交換会」も欠かせない。各古本屋は扱うジャンルに特徴があり、自店で売らない本などは交換会を通じて必要な店へ渡っていく。旭川に関する本が、こういった場で手に入ることもあるという。ここでは情報の交換も行われ、知識を得るための場所としても機能している。

松浦武四郎をはじめ、北海道開拓にまつわるものも

ふと、郷土史はどんな人が購入するのか気になった。先生や大学教授など、教育に従事する人も多いというが、地質調査や自分の祖先を辿るのに使ったりと、その用途はさまざま。鉄道マニアが昔の線路を調べる時にも使われるという。共通するのは、過去を知る上で重要なものということ。そして、捨てられるはずだったものに価値を付けるのが、古本屋が存在する大きな理由ということだ。

「競合がもっと増えてほしい」と悠太さんは話す。古本屋がなくなるということは、それだけ貴重な本や資料が捨てられてしまうということに繋がる。本への愛だけでなく、歴史や文化を絶やさないためにも、古本屋は存在しなければならない。

さらに深部へ ルポ・あれこれ

思わず目を惹かれるポップな店の看板

イラストレーターの小川けんいちさんが手掛けた

今までの堅いイメージを払拭したいと、2020年に大胆なリニューアルを敢行。誰もが知る名画「最後の晩餐」をモチーフに、歴史上の偉人たちが本に親しむ姿が独特のタッチで描かれている。

かつての必須アイテム「古書目録」

古本屋にとっては当たり前だが、一般に知られることは少ない

本の相場がネットで簡単に調べられる現代とは違い、昔は古本屋が発行する「目録」というカタログのようなもので調べていた。ここから知識を得て、値付けをしていたのだ。

CDやレコードもおまかせあれ

店舗とは別で構える倉庫兼事務所で管理されている

本や雑誌以外にも、古いCDやレコード、はたまた骨董や古物なども取り扱っている。こちらは主に、ネットや催事での販売が多いそうだ。懐かしさだけでなく、若い世代に残したい文化のひとつであろう。

編集後記

ネットでの買い物が当たり前になり、今やネットだけで運営する古本屋も増えている。旭文堂書店も、店舗を構えながらもその時流の真っ只中にいるはずだ。だが、実店舗をなくすことは絶対にないと言い切る姿が印象的だった。店舗は貴重な本が集まる窓口であり、文化を残すための場所であり、旅を終えた本が帰ってくる場所でもある。なにより、本が好きな者同士が、本を通して直接交わることができる場所として、残すべきなのだろう。

関連キーワード

トピックス

旭文堂書店 笑顔100年計画〜歯科衛生士になりたい
先日、初診で検診のために受診してくれた小学生の女の子。担当した歯科衛生士から「院長、あの子が将来の夢は歯科衛生士さんと言っています!!」と、嬉しい報告がありまし... (10月7日)
旭文堂書店 旭川初のホスピス住宅 高砂台にこの夏開業
終末期の患者が穏やかに過ごせるよう医療サポートをするホスピス住宅「グローム・ホスピス高砂台」が、今夏、旭川市高砂台1丁目に開設しました。旭川の街と大雪山を見下ろ... (10月7日)
旭文堂書店 春休みにホームステイ 参加中学生を募集
旭川市と姉妹都市のアメリカイリノイ州のブルーミントン・ノーマル両市の青少年交流事業として、来年3月26日(水)から4月5日(土)までの9泊11日間、両市への語学... (10月6日)
旭文堂書店 旭川冬まつりを盛り上げて ふるさと納税型クラファン実施中
旭川冬まつり実行委員会は、来年2月6日(木)~11日(火祝)に旭橋石狩川河畔で開催する「第66回旭川冬まつり」への支援を募るふるさと納税型クラウドファンディング... (10月6日)
旭文堂書店 年の瀬に1年間の集大成 陸自音楽隊が定期演奏会
陸上自衛隊第2師団に所属する第2音楽隊の定期演奏会が、12月21日(土)午後2時から、旭川市民文化会館大ホール(旭川市7条通9丁目)で開かれます。 部隊の訓練に... (10月5日)
旭文堂書店 風呂好きたちの夢の一歩 神楽の菊の湯が再オープン
創業から59年間、地域に愛された老舗の銭湯「菊の湯」(旭川市神楽5条14丁目)が、約1年間の閉業期間を経て、9月9日(月)の菊の節句の日に再オープンしました。 ... (10月5日)
旭文堂書店 今年も生まれたよ クジャクの赤ちゃん
8月上旬に生まれたクジャクの卵が9月3日と4日にかえり、2羽のヒナが元気に育っています。その成長スピードは驚くほどで、羽の模様はすっかり大人のよう。行動範囲も少... (10月4日)
旭文堂書店 旭川・台湾の若手音楽家が共演 11月に無料の交流コンサート
日本と台湾の若手音楽家が共演する室内楽演奏会「旭川・台北交流コンサート」が、11月16日(土)の午後3時から、大雪クリスタルホール音楽堂(旭川市神楽3条7丁目)... (10月3日)
旭文堂書店 若手演劇集団が送る群像劇 胆振東部地震から着想
旭川市の10~30代が作る演劇集団「シベリア基地」は、10月12日(土)、13日(日)にサン・アザレア(旭川市6条通4丁目)で公演を行います。 「あのひ、」と題... (10月3日)
旭文堂書店 直木賞作家・河﨑秋子さん講演
別海町出身の小説家・河﨑秋子さんが、10月14日(月祝)に旭川市立大学(旭川市永山3条23丁目)で講演会を開きます。 河﨑さんは2014年に「颶風の王(ぐふうの... (10月2日)
旭文堂書店 醤油派も虜にする旭川みそ 自宅で気軽に「ふるき」の味を
旭川市内の麺製造・藤原製麺株式会社(旭川市9条通14丁目)が、生麺と乾燥タイプの袋麺「ラーメンふるき 旭川みそ」を発売し、話題を呼んでいます。同社が製造する「旭... (9月28日)
旭文堂書店 今日も元気にいただきガス! 旭川ガスのお店を動画紹介
旭川市の1条通を通ったことがある人ならわかるはず。あ、あるある、見たことあるぞ、この看板…。そう、店名どおり、存在感大の黄色い看板を設置しているのは、意外と穴場... (9月27日)
旭文堂書店 麺類編
残暑もやっと終わりが見えてきたこの頃。まずはつるっとイケる麺類で、食欲の秋のスタートを切ろうじゃないか! ※表示価格は全て税込、盛付けは一例です... (9月17日)
旭文堂書店 特別なコラボメニュー つくっちゃいました
全店共通提供期間 2024年10月31日(木)まで 種類豊富な秋の王様。 旭川市内5つのお店とライナーがコラボして、 きのこが主役のメニューを開発しちゃいました... (9月17日)
旭文堂書店 今日も元気にいただきガス! 旭川ガスのお店を動画紹介
今回は昭和22年創業の老舗焼き鳥店、三代目かん太郎の登場です!旭川名物の「新子焼き」が自慢で、初代から 80年近く受け継ぐ秘伝のタレは、一度食べると忘れられない... (9月13日)
旭文堂書店 インスタフォローしてね きょうから登録キャンペーン
弊社(株)ライナーネットワークは、きょう9月27日(金)から10月30日(水)の期間、公式インスタグラムをフォローして該当の投稿に「いいね」を押すだけで、豪華な... (9月27日)
旭文堂書店 旭川ふしぎ発見! Vol.2
ライナー40周年記念企画、「旭川ふしぎ発見!」。旭川の歴史をクイズ形式でおもしろく掘り下げます。監修は、元NHK旭川放送局長で旭川郷土史ライター&語り部の那須敦... (9月27日)
旭文堂書店 笑顔100年計画〜生涯スポーツと健康寿命
スポーツの秋ですね。何か習慣的に運動はしていますか? 適度な運動習慣が健康維持に良い影響を与えることは科学的にも証明されているところですが、世界保健機関(WHO... (9月25日)
旭文堂書店 秋風にそよぐ、美しき穂や葉
暑すぎた夏がやっと終わり、少しずつ秋が深まってきました。ガーデンでは、ススキやアスターが見頃を迎え、シーズンのラストを彩ってくれています。秋のガーデンならではの... (9月24日)
旭文堂書店 何度でも、かたちを変えて 「持たない時代」の家具
旭川出身の大坪輝史さん=右=が代表を務めるデザイン会社・株式会社6D(本社・東京)が、旭川の企業と共同で木製品の新ブランド「DoooiT(ドゥーイット)」を立ち... (9月16日)
旭文堂書店 40周年を節目に、見えてきた「可能性」
明けましておめでとうございます。 皆様におかれましては健やかに新春を迎えられたこととお慶び申し上げます。 株式会社ライナーネットワークは、本年6月を持ちまして創... (1月1日)
旭文堂書店 希望の花を咲かせる、挑戦の一年に
みなさま、新年明けましておめでとうございます。 旧年中も格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。 思い返せば昨年はロシアによるウクライナ侵攻を皮切りに、円安... (1月1日)
旭文堂書店 経済再生に向けて、リハビリの年に
明けましておめでとうございます。 振り返ればコロナ禍で誰もがもがき苦しんだ2020年でした。当社も直撃を受け、大いに冷や汗をかきました。 三密を避けての分散勤務... (1月1日)
旭文堂書店 旭川で【テイクアウト】できるお店〜東光・豊岡
旭川市内でテイクアウトできるお店を紹介します 【随時更新中・要事前確認】... (10月19日)
旭文堂書店 旭川で【テイクアウト】できるお店〜新旭川・永山
旭川市内でテイクアウトできるお店を紹介します 【随時更新中・要事前確認】... (10月8日)
PRインターネット広告掲載はこちら »

ニュース / キーワード

ようこそ、ゲストさん

メールアドレス
パスワード

※パスワードを忘れた方はこちら

はじめての方はこちら

アカウント作成

ライナー最新号

2024年10月4日号
2024年10月4日号
今週11日から 札幌の麺屋 雪月花が ラーメン村に限定出店
紙面を見る

ピックアップ

つくろう旬レシピ
つくろう旬レシピ
プロの料理人が教える 季節の食材を使った 絶品レシピをご紹介
注目グルメ
注目グルメ
定番から新作まで ライナーが今注目する お店の味はこれだ!
シネマの時間
シネマの時間
映画ライター・ケン坊が語る新作映画とそのみどころ
味な人
味な人
北北海道で食に携わる人々の横顔をご紹介
みらい農家
みらい農家
地域の未来を耕す人たちを紹介します
ものぴりか
ものぴりか
ライナーが集めてきた 地元の素敵な品々を紹介します
不動産情報
不動産情報
不動産・リフォーム等 住まいに関する情報を公開中
クーポン
クーポン
お得なクーポンを公開中
お知らせ
お知らせ
お店・スポットの お知らせ
ラーメンマップ
ラーメンマップ
ラーメン食べたいなぁ そんなときは専用マップで探してみよう
開店・移転・閉店
開店・移転・閉店
旭川市・近郊エリアの新店や創業などの話題。情報提供も歓迎!
星占い
星占い
10/8〜14の星占い

ページの最上段に戻る