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「暮らしに必要なのは、旅に持っていく最低限度のもの」。東日本大震災を機にそう考えたある夫妻が、極力シンプルな暮らしを実現すべく東川に移住し、カフェと雑貨の店リコ(同町西4北30)をオープンしました。
震災のあの日、桐原紘太郎さんはアートディレクターとして東京で働いていました。「妻のまどかは妊娠中。でも交通も電波も麻痺して、数時間安否の確認もできなかった。この経験から、自然と子育ては安全で自給自足のくらしができるところで、と考えるようになりました」と都心を離れた経緯を話します。
夫妻ははじめ、美しい海に囲まれ大都市とも隣接する福岡県糸島市を移住先に選びました。カフェを経営し、持続可能な循環型ライフサイクルを目指して、食べ物や電気を自ら作り出して利用する日々は充実感に溢れたものでしたが、「ふと振り返ったとき、いつのまにか物が増え、無駄が増え、負担が増えていたんです」。シンプルに暮らすため移住したはずなのに、自分自身が肥大しているような感覚にふたたび足を止め、改めて進むべき方向を見定めた二人は、生き方を再構築するために荷物や財産のほとんどを手放しました。キャンピングカーに最低限の生活品だけを載せ、長い旅が始まります。一年半をかけて海外を少しと日本をおよそ2周した頃、辿り着いたのが東川町。「自然いっぱいの町並みに澄んだ空気、極めつけは蛇口をひねれば飲める清涼な地下水。ここでなら自分たち家族が思い描く暮らしが叶うと直感しました」と、しばらくの定住を決意しました。
真冬に改修した古民家の店舗は、こぢんまりとしながらも夫妻の人生観が表れています。旅を通して見つけた価値観を紹介し、心から勧められる商品を販売する、そしてワークショップやイベントを開いて地域と繋がっていくことで、モノに頼らない有機的な暮らしを実現していきます。
そのときどきで必要なものを見極め、選び取り、必要な場に出向く―。軽やかに暮らすことは言うほどたやすくはないはず。けれど家族のひとつの理想形として、夫妻の生き方には学ぶべきことがたくさんありそうです。
営業は午前11時から午後4時まで、日曜・祝日定休。問い合わせはリコ(電話080-9072-8994)へ。