ジオストーム
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天変地異、あります。

 トッピング全部乗せといった感じの作品。天候の管理、制御できない機械、巨大な竜巻に津波、なぎ倒される超高層、宇宙で大ピンチ、兄弟の確執、消される善良な東洋人、ホワイトハウス内の背信、風変わりな父とその娘、渦巻く陰謀、凄腕のハッカー、カーチェイス、対戦車砲、サクリファイス…。挙げればまだまだある。アメリカ映画が好んで来たモチーフがこれでもかと詰め込まれている。よくもまあここまで全部詰め込んだものだと感心さえするほどの満載ぶりである。

 天候を管理する衛星システムが制御不能になり、地球規模の大災害が起こる。管理社会もののSFとディザスターものを合体したようなアイデアが軸にある。そのディザスターは自然に発生するものではないせいでどれも規模がケタはずれだ。それならもう少し新しい感じの映画になる可能性もあったろう。しかしおよそ思いつく限りの「どこかで見たようなもの」を過剰にデコレーションしたことで、アメリカ映画のダイジェストカタログのような仕上がりになってしまっている。換言すれば見たいものを端から全部詰め込んであるので目には楽しいとも言える。良くも悪くもアメリカ的なものが垣間見える作品だ。

ディノスシネマズ旭川イオンシネマ旭川駅前シネプレックス旭川で上映中

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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 アルマゲドンやターミネーター、トランスフォーマー、ツイスターにノウイング、ゼログラビティ、バトルシップ、パシフィック・リムなどてんこ盛り。いろんな方向に無茶な映画だ。

 クライマックス、陰謀の正体が暴かれるシーンに印象的な言葉がある。この作品の悪役が、1945年のアメリカを取り戻す、というようなことを言う。もちろんそういう発想に対して批判的な視点であるという姿勢でこの作品は作られている。冒頭の法廷でも、成果は国際的なチームによるものでアメリカのものではない、というようなことを主人公が言う。作品が持っているメッセージは旧態依然としたアメリカ中心主義への非難だ。表向きは。

 実際には、スペースシャトルの進化版のようなシャトルがバンバン打ち上げられるNASAの基地が描かれ、合衆国大統領は世界への強い影響力を持った善意の人として描かれている。悪の側は白人中心で構成され、それに立ち向かう側はいち早く陰謀に気づく東洋人をはじめ、宇宙のシーンで重要な役割を担うメキシコ人、凄腕ハッカーの黒人女性など、多種多様な人種を配している。重要な位置にいるシークレットサービスが女性なのもあざとい。少々これ見よがしにすぎて鼻につくわけだが、殊更多様性のようなものをプッシュしたがるのもきわめてアメリカ的だと感じる。星条旗を振り回しながら、アメリカ中心主義を批判して世界は一つだと唱えているようなものだ。強いアメリカを取り戻す、と言っていたトランプ大統領の精神性と近いものを内包している。しかもそういうものを否定しているような装いになっている分始末が悪い。

すごい映像の見本市だと思えばそれなりに楽しめるのだが、やはり映画は映像だけがすごくても物足りないのであった。

2018年1月30日