ブレードランナー2049
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正統な続編

 アルマゲドン2012的インチキ臭の漂うタイトルだが、リドリー・スコットが製作総指揮に立っているというまっとうな続編である。SFの金字塔と名高い『ブレードランナー』の35年ぶりの続編ということで、正直「やめときゃいいのに」と思っていたファンも多いのではないか。かく言う私もDVDやらBDやらこれまでに発売された前作のソフトはいくつか持っていて、原作者も大好きで翻訳されているものは全部持っている程度にファンなのだが、期待と不安を天秤にかけると不安のほうが勝っていた。しかしそんな私が見て、本作は絶賛ではないものの、「正統な続編」と言って良いのではないかと感じた。

 本作は前作の30年後を描いていて、かなりの問題提起をする題材を扱っている。しかしディックが生涯を通して描き続けたテーマをうまく取り入れた物語になっている上、映像の肌触りも前作の雰囲気を踏襲しているため満足度は低くない。なかなか想像を超えた展開になって3時間弱一気に見終えてしまうが、見終えて一息ついたあたりで実はあれこれ投げっぱなしだったことを思い出し、「この後どうなったのか」が気になって夜も眠れなくなるかもしれない。

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ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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 冒頭から終始、先の読めない感じが続く。実にかなり終盤まで展開は読めないので3時間近い作品だが飽きることなく終わりまで楽しめる。軸になっているテーマは「そこへ踏み込んじゃうのか」というぐらいに大きなものだが、そこに絡めてディック生涯のテーマでもある「自分」たるものが揺らぐという要素も見事に入れ込まれている。この要素があることと、主人公をライアン・ゴズリングが好演していることが「らしさ」を高めているように感じた。

 一方で曖昧な要素が多いことも否めない。ウォレスの人物像に謎が多すぎることや、ラストシーンのその後が全く安泰ではなさそうなことなどが後味を若干悪くしている。また、『スター・ウォーズ』などでも用いられている、古い作品の登場人物をそのまま現代に蘇らせる技術も、確かに技術はすごいのだけれどこれ見よがしに使いすぎな気がする。『ローグ・ワン』のラストに登場するレイア姫はエピソード4につながるシーンなので登場する必然性があったわけだが、本作のレイチェルはどう考えても蛇足で、回想に出てくるのは良いが、年老いたデッカードと対面するシーンは単に技術を見せるためのこけおどし的なものになり果ててしまっていた。

 大方の予想通り、前作を超えるようなものにはならなかったわけだが、それでも続編として許せないようなものではなく、まぎれもなく『ブレードランナー』と言える作品だと思う(この点については異論のある方もおられるだろうが)。特に音はとても良く、前作の特徴的な音を踏襲したものが最新の音響で再生され、世界観の充実に一役買っている。この音はぜひ劇場で体験してもらいたい。

2017年11月2日