チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜
©2017 映画「チア☆ダン」製作委員会

頂きに登りきった人にだけ見える景色

 事実は小説よりも奇なり。本作は事実を元にして作られたフィクションだが、元になった事実があまりにもすごい。

 一人の教師があふれる情熱でバトン同好会をチアダンス部に変え、熱血指導で全米大会制覇へ導く。弱小野球部が甲子園で優勝する少年漫画みたいな話である。これが本当にあった出来事で、チアダンス部になってわずか三年で全米制覇し、のちに5連覇を成し遂げているというから圧倒的だ。

 本作のキーはなんといっても熱血鬼教師役の天海祐希。この役は天海祐希にしかできないだろう。熱血鬼教師としてチアダンス部をモーレツ指導するわけだが、その指導の中で、様々な名言を残す。特に響くのが、「努力の果てに頂点を極めたものだけに見える景色がある」という趣旨の言葉。これは実際に宝塚月組で若くして頂点を極め、伝説のトップスターとなった天海祐希が発してこそ響く。思えば本作におけるチアダンス部のスピード出世は、まさに天海祐希の宝塚時代を彷彿させる。説得力溢れる芝居は見事という他ない。

 ありがちな青春サクセスストーリーでは収まらない傑作である。見ればきっと明日からまた頑張ろうと思えるし、夢ノート、書いちゃうかも。

イオンシネマ旭川駅前ディノスシネマズ旭川で上映中

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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 正直に言うと、予告編を見た段階ではそこまで期待していたわけではなかった。もちろん面白そうだと思ってはいたけれど、強豪でもなんでもない学校のチアダンス部が全米を制覇するという話はだいたい想像できてしまうため、「まあだいたいこのぐらい面白いだろう」というような感じの期待だった。

 ところが見てみたらぶっ飛んだ。期待をはるかに上回って面白かったのだ。序盤で天海祐希が初めてスクリーンに登場したときに、なにやら大変なものが始まったと感じた。いきなりめちゃめちゃに面白くて、これはもう天海祐希だけで全編楽しめちゃうんじゃないかという予感すらあった。

 もちろんこの作品の見どころが天海祐希だけであるはずはない。彼女が演じているのは熱血鬼教師の役で、主役はどちらかといえばその指導を受けるチアダンス部のほうだ。そこにも粒ぞろいの若手女優が揃っていて、女優たちの競演を楽しめる作品になっている。

 ダンスチームはけっこうな人数がいるのだが、主力のメンバーは個性的なキャラクタ付けがされている。そしてそれぞれの女優がその色を見事に表現しきっていて、すんなりと作品世界に引き込まれてしまうのだ。

 そのため、ストーリーとしては大方の予想通りのものなのだが、満足感がものすごく高い。これはけっこう大変なことだと思う。ストーリーそのものが意外だったらそれだけで「思ったより面白かった」となるわけだが、ストーリーが思った通りだったにもかかわらず「思ったよりもはるかに面白かった」と感じた。どう見ても「ここで泣けよ」っていう部分で不覚にも涙がこぼれた。ベタなのにまっすぐに響く。出演者たちの真摯な芝居がこの素晴らしさに大きく貢献していると思う。

 久しぶりに、見た直後に「もう一度見たい」と思った作品だった。

2017年3月17日