ラ・ラ・ランド
©2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling)and Mia(Emma Stone)in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate.

生きることは音楽

 極上のエンタテイメントという言葉はまさにこの作品を形容するためにある。この作品の劇場公開に立ち会えたことを感謝したくなるような傑作だ。

 オープニングから一気に作品世界に引き込まれる。本作はいわゆるミュージカル映画だが、単純にそんな言葉では片付けられない。もちろんミュージカルとして歌い、踊るのだが、そこにジャズという要素が色濃く絡まってくる。ジャズは即興がぶつかりあう音楽であり、ビートがスウィングする音楽だ。作中では主人公たちカップルがそれぞれの人生の旋律を奏で、ハーモニーを響かせる。良い時もあれば悪い時もあるという起伏は時に緩やかに、時に激しくビートを刻む。それぞれが伴奏にも旋律にもなり、アップになったりダウンになったりする。そして英語という言葉は歌詞として音楽的だということを再認識した。芝居の部分では特に何も感じないものの、歌になると英語がとても心地よい。ぜひ歌の部分は字幕に気を取られず、意味がわからなくても良いので耳で楽しんでほしい。

 生きるということはまさに音楽そのもの。ぜひ映画館の音響でこの極上のエンタテイメントをご堪能いただきたい。さぁ、人生を奏でよう。

イオンシネマ旭川駅前で上映中

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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 控えめに言っても最高。最高は最も高いという文字通りの意味での最高。まだ今年は始まったばかりだが、すでに2017年の1位はこれだと言ってしまうことさえためらわれないぐらいに「最高」であった。

 古くは「南太平洋」あたりから最近だと「アナと雪の女王」まで、ミュージカル映画は名作揃いだ。ミュージカル映画は群舞があったりして多分に舞台的になるのだが、本作はそこに映像ならではの演出を散りばめ、どこか懐かしいようでありながら初めて見るような新鮮な映像体験へ導いてくれる。2時間30分という上映時間は決して短くないが、あっという間であった。いわゆるミュージカル映画としてのミュージカル音楽だけでなく、ジャズやロック、クロスオーバー的なものまで散りばめられている。特に「セッション」を作った監督だけあって、ジャズへの熱い思いはもうほとばしりまくっていてスクリーンからあふれ出ている。録音も素晴らしく、鍵盤に置かれた指先から紡ぎだされるピアノの音の粒、スピード感あるスウィングのライドシンバル、指先の摩擦まで聞こえてきそうなウッドベース、生々しい管楽器、そして息遣いまで耳に届くボーカル。この音を堪能するためにもぜひ映画館で見たい作品なのだ。「見て損はない」のではなく、「見ないともったいない」のである。

 登場人物たちの物語の起伏が絡まりあい、奏でられる音楽と相互に作用しながら画面にリズムを刻んでいく。英語の韻を踏んだ歌詞はメロディのリフレインと相まって耳に心地よい。言葉それ自体がリズムをけん引していくようだ。音楽のように組み上げられたストーリーが音楽で飾られ、ストーリーが停まって歌と踊りのパートになると音楽が動き出し、音楽パートが終わるとストーリーが続きを演奏する。見事なアンサンブルだ。

 ラストの展開はまさに秀逸で、交響組曲の最終楽章にそれまでに登場した様々なモチーフがゴージャスに詰め込まれ、全体を振り返るような構成になっているのと似ている。

 十年に一本の大傑作である。十年というのは実は少々遠慮した。個人的には三十年に一本ぐらいの超傑作だと思う。

2017年3月3日