ボクの妻と結婚してください。
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終活で婚活

 余命数か月を宣告されたらあなたは何をしますか。ありそうな問いである。やはり家庭を持っていれば、残された家族がどうなるのかということが一番気になる。そうだ、残された時間で妻の再婚相手を探そう、というのがこの作品。かなり異色の終活を描いた作品と言える。

 もちろんとても悲しい話なのだが、死にゆく主人公は最後まで明るい。運命を受け入れ、残されたわずかな命で何をするのかということをひたすら考える。余命数か月という言わば最悪に近い状況をどうやって楽しいものにするのか。残していく家族にどうやって笑ってもらうのか。その過程で少々トンチンカンなことをして迷惑をかけたりもするのだけれど、彼の終活プロジェクトは周囲の人を巻き込み、次第に、誰が誰のためにやっているのかわからない状況になっていく。悲しいが悲壮感はない。絶望的な状況だが絶望感もない。不思議な明るさがあるのだ。

 核家族をまさに核だけ描き、その小さなチームの計り知れない絆の強さを見せる。悲しく重い題材を扱っていながら、誰もが前向きに進んでいる。見るに際しては、とりあえず大量の涙が必要になるが、不思議と苦しくはなく、後味もとても良い。全お父さん必見。

シネプレックス旭川ディノスシネマズ旭川イオンシネマ旭川駅前で上映中

ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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 余命半年を宣告された男が妻の再婚相手を探す話、という予告編を見て、正直なところ、「重そうだなぁ。悲しいなぁ。耐えられないかもなぁ。」と思い、見に行くのに気が重かった。しかし思い切って見に行ってみて良かった。

 主人公はバラエティ番組を作っている放送作家で、一般の人が気づかないような楽しさを演出して見せるのが仕事という人。余命数か月の宣告を受け、残される家族のために、自分の死さえも楽しいものに変換して、笑っていてもらいたいと考える。生粋のエンターテイナーである。

 彼の考えた、妻の再婚相手を探すというプロジェクトは面白い。プロジェクト序盤の行動なども面白おかしく表現されていて、前半はコメディタッチでとても良い。しかしプロジェクトの第二段階が、どうもこの人物の人物像に合わないというか、彼がこんな手段に訴えるだろうか、という疑問を抱いてしまようなもので、少々納得がいかない。彼は残される家族に笑っていてほしいわけで、それを考えるとどうもズレたことをする。この展開がどうもちぐはぐな印象で引っかかった。

 しかしそこから後の部分はもう「こんなに涙ってあったんだ」と思うぐらいボロ泣き状態に突入する。もはや何がそんなに感動を呼んだのかもよくわからないぐらいにビショビショであった。特に息子とのやりとりがもうステキすぎて、飲んでるコーラが目から出てるんじゃないかと思うぐらいダダ漏れ状態であった。

 死にゆく彼が企画した、妻の再婚相手を探すというプロジェクトはいつしか、妻による「彼の最後のプロジェクトを成功させるプロジェクト」と化し、関わってくる誰もがこのプロジェクトを成功するために動いているスタッフのような様相になってくる。そして大団円。彼の終活は当初の彼自身の目論見とは違うものになったものの、残された人たちが全員前を向いて歩み続けられる状態を作り出した。そして、彼の思惑にはおそらくなかったと思われるが、このプロジェクトによって彼は、より強く、残された人たちの心に生き続けることになった。

 いかにして死すべきか、という命題。かなり変化球と言える彼の最期だが、未来を作ることを選んだ、という彼の選択にはけっこう憧れる。

2016年11月11日