グッドモーニングショー
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メイキング・オブ・ワイドショー

 ワイドショーのキャスターが犯罪に巻き込まれるという、以前紹介した『マネーモンスター』を思い出すような題材の作品。しかしこちらは犯罪に巻き込まれるという要素が主ではなく、それによって「ワイドショー」というある種のエンターテインメントの裏側を見せる試みのようにも感じる。

 視聴率を追い求めて仕事をするワイドショー。その結果が低俗と言われたりもするわけだが、多くの視聴者が見たがっているものを見せるということに全力を注いでいるのは確かだろう。以前ほど絶対的ではなくなったものの、まだまだ巨大な影響力を持つテレビというメディア。その中にあってあらゆるものをエンターテインメント化するワイドショーというものは、賛否はあれどテレビというメディアを象徴しているように感じる。本作はかなりワイドショーの側に立った描き方がされているが、テレビというメディアについて改めて考え直すきっかけになるだろう。

 ワイドショーの舞台裏として観ると、半ばフィクションであることを差し引いても興味深い。ただし、この作品自体テレビ局が製作しているという点は考慮して観る必要がある。逆にそれを踏まえて観ると面白さが増すともいえる。

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ケン坊がさらに語る!WEB限定おまけコラム

この記事には映画のネタバレが少々含まれているので、まだ映画を見ていない人はその点をご承知おきの上で読んでください。

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 中井貴一がとにかく良い。複雑な想いを持って今を生きているこの主人公を、時にコミカルに見せながら好演している。好演なんてもんじゃないぐらいの名演である。

 この主人公は生放送のワイドショーのキャスターで、ある日の放送開始直前に発生した立てこもり事件で、犯人の要求として現場に呼ばれることになる。結構な事件だが、当のワイドショーはこれを大チャンスと見て乗っかろうとする。あらゆる手を尽くして状況を利用する。つまりそれが「視聴者が見たがっているものを提供する」ことにつながるからだ。

 各所に、報道とワイドショーの貴賤といった意識も描かれる。もちろん作品はワイドショーの側に立った描き方になっており、一貫して「低俗と蔑まれても誇りをもって仕事をしている」という姿勢だ。視聴率を追うことは視聴者の欲しがっているものを提供するということにほかならず、だから正義である。しかし物語の終盤で、彼らは大きな決断を強いられる。視聴者の求めるものならなんでも正義と言えるのか。

 美化しすぎであるという感覚は否めない。しかし中井貴一の芝居によって、インチキ感はかなりぼかされている。美談のように見えなくもない。だがこの作品、そもそもテレビ局が製作しているのである。その点も考えに入れるとメタフィクション的な面白さも出てきて、テレビというメディアに関していろいろと考えさせられる作品と言える。

2016年10月18日