高倉さん
ビンディングの取り付け、エッジ研ぎ、ワックスがけなどスキーの全てを手掛ける高倉さんにとって、最も重要なのは「選手や依頼主との信頼関係」だそう
赤外線でワックスを浸透させる機械
数年前に赤外線でワックスを浸透させる機械を導入。個人経営のチューンナップショップでこれを使用している店は少数

次世代の夢を育み世界へ

ウィンタースポーツの代表格スキーは、多くの道民が幼い頃から慣れ親しんでいる冬には欠かせないレジャーのひとつ。小中高などたくさんの教育機関が授業の一環に取り入れていることもあり、道民におけるスキー経験者の数は計り知れません。ところが少子化の影響からか、スキー、スノーボード、スケートなどを嗜む競技人口は、軒並み減少の一途であるとか。

「冬のスポーツは北海道の大切な文化です。どうすればもっとたくさんの方々に楽しんでいただけるか、私たちも真剣に考えて取り組まなければ…」と語るのは、旭川市内でスキークラブを主宰しながら、チューンナップショップを営む高倉孝良さん。その指導力の高さは、スーパー大回転などの高速系競技で国内の第一人者である本田浩樹選手を育てたことでも知られています。

通常、コーチとチューンナップを担うサービスマンは、それぞれ高度な見識と技術が求められる専門職。高倉さんは、そのどちらも手掛ける国内では数少ない指導者のひとりです。選手の適正を見抜き、それぞれの個性に合った方向に導きながら、体格や体のクセに合ったスキーをセッティングする。理に叶っているようにも思えますが、同時に実践するのが並大抵ではないことは想像に難しくありません。そんな高倉さんの原点は、中学生の頃指導を受けた恩師にあるそうです。

「スキーテクニックからチューンナップの技術まで、広く指導していただきました。その頃学んだものが全てのベースになっています」と振り返ります。同時に、恩師から常に「世界を目指しなさい」と言われ続けたとか。その言葉を胸に、高校卒業後はデュアルスラローム(2選手同時にスタートするトーナメント方式のレース)のプロレースに参戦。同競技の日本代表に選出されるなど、世界の舞台も数多く踏んできました。

コーチ業に転身した後、しばらくは東京をベースに活動していましたが、競技生活から会得した経験や技術を次世代に引き継ごうと、故郷の旭川に拠点を移しました。曰く「経験の中から、競技者には帰る場所が必要だと感じました。不調の時でも、そこに戻れば立て直せる場所ですね。旭川はそういった、家みたいな所なんですよ」。高倉さんがそのように考える理由は、市内どこからでも車で30分程度の距離に良質の雪と練習コースがあるから。それは「世界的に見ても、非常に恵まれた環境」と力説します。

そんな高倉さんを、ゲレンデからチューンナップショップでの地道な作業へと駆り立てるものは、旭川から世界を目指してほしいと願う、恩師から引き継いだ強い思いなのではないでしょうか。

会社プロフィール
平成9年、チューンナップショップ「ノースヒーロー」設立。平成12年、ノースヒーロースキークラブ発足。平成21年、現住所に移転。
代表取締役/高倉 孝良 旭川市3条西5丁目2-17 横田ハイツ1F
TEL:0166-27-1344

2012年1月24日